ブラインドネス

シティ・オブ・ゴッド」や「ナイロビの蜂」で、知られているフェルナンド・メイレレス監督が十年以上前から映画化を望んでいて実現した映画だ。日本・ブラジル・カナダ合作という多国籍の製作者が、ノーベル文学賞受賞作家ジョゼ・サラマーゴの「白の闇」を映画化した。

この映画は簡単な娯楽映画ではないし、原作の世界中の人々が失明するという奇抜な内容を映像に表現するのでワクワクドキドキするものではない。非常にシリアスで、難解だ。でも、わては今の世界そのものが、ほんとうに見ている事態が世界の真実かと問いかけているのだと思う。

医者の妻だけが感染しないで、他の人間がすべて盲目になってしまう設定は、ニュースや新聞で見聞きしていることがほんとうに世界の現実なのか問いかけていると思う。その証拠に、医者が最初に「ほんとうに盲目なら、視野は暗くなっていく」と言っている。これが、エンディングの付箋になっているのだ。

最初に失明するのは、日本人の男性(伊勢谷友介)だ。渋滞している交差点で、突然目の前が白くなって見えなくなってしまう。なんとか帰宅するが彼の妻(木村佳乃)も、診察した医者(マーク・ラファロ)も、同じ病院にいた患者たちも盲目になる。そして、医者の妻(ジュリアン・ムーア)だけが、その症状が出ない。

彼らは精神病院の跡地に収容され、集団生活を送ることになる。でも、次第に秩序は乱れ人間の醜悪な部分が次々と出現する。この乱れていく様子が、実はその施設だけの話ではなく隔離したはずの外の世界も同じだったというのが示唆に富んでいる。

原作の小説は非常に詳細な表現がされていると思うが、この映画だけでも充分にその深遠なテーマを味わうことができる。ゴロゴロ。



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