7つの贈り物  SEVEN POUNDS

ウィル・スミスが主演と製作にも関わり、「幸せのちから」のガブリエレ・ムッチーノ監督と作ったヒューマン・ドラマだ。とはいっても、物語の展開はミステリアスで途中まで主人公ベン(ウィル・スミス」の意図がわからない。映画の冒頭で聖書の神が7日でこの世界を創造したとクレジットが入るので、宗教的な映画だとわかる。

わては似た映画として、デンゼル・ワシントンの「ジョンQー最後の決断」を思い出した。ジョンは愛する息子のために、自らの命を捧げようとする。でも、この映画では全く違う動機で主人公が同じようなことをする。わては、この映画の進行をやや反則だと思う。やや反則だと思うが、最近のアメリカ戦争反省映画シリーズの風潮を考えるとこういう映画もありかと感じた。

IMDBによると、「seven pounds」という原題はシェイクスピアの「ヴェニスの商人」からヒントを得た題名だという。つまり、単純な自己犠牲や贖罪をテーマにしているのではなく、もっと複雑な人間の本質に迫るものがあると思った。以下、詳細に触れています。

国税庁の役人で税金未納者を探して、催促してまわるのが仕事のベン・トーマス(ウィル・スミス)はなんらかの理由があって税金が払えない人を探しているようだ。お金があって払わないのではなく、経済的に困難な状態に陥ってしまって払えない人に一人ひとり会う。そして、身の上話をして何かを確かめていく。その何かは、映画の冒頭では全くわからない。

ベンの兄弟が話をしたいと言って来ても、時間を取ろうとしない。さらに、大事なことを友人に頼んでいるシーンもある。「seven pounds」という意味は7ポンドという重さのことではなく、「ヴェニスの商人」で借金のかたにした自分の体の肉1ポンドが7個という意味だ。具体的には、エミリーに心臓を、エズラに目を、コニーに家を、弟に肺を、ホーリーに肝臓を、ケニーに骨髄液を、ジョージに腎臓を与えている。

ベンが飼っているクラゲは、そのときが来たときのためのものである。そして、おそらくエミリーに心臓を与えるのは計算外の出来事だったような気がする。自分の不注意で交通事故を起こして7人を死なせたからといって、自分が自殺してまで贖罪をすることはない。キリスト教では自殺を禁止しているし、ベンがエミリーの体の中に入って生きたいと思ったのだと解釈している。

この映画は、わざと難しくしているのでまだまだ検証が必要だが、わてはもう一度しっかりみたいとは思わない。自己破壊的な行為が、わては好きではないからだ。ゴロゴロ。



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