天使と悪魔

ダ・ヴィンチ・コード」の時は原作を読んでいないと、よくわからないほど展開が速かった。それでも世界中でヒットして、話題作になった。ところが、今作は原作を読んでいなくても、十分楽しめるように作られている。ダン・ブラウン原作の「天使と悪魔」は文庫本三冊の量だけど、ロン・ハワード監督の映像は適度な密度になっている。

コンクラーベ(教皇選挙)は5年前のヨハネ・パウロ2世のときに、マスコミで取り上げられたので覚えている。煙の色で教皇が決まったのかどうか、わかるのだ。また、カトリックの総本山であるヴァチカンが、最新の科学を認めているとは言えないのも周知のことだ。だから、この映画のようにガリレオがイルミナティという科学者の秘密結社を作り、現代まで復讐をたくらんでいるという話もあり得る。

ハーバード大学の宗教象徴学者ラングトン教授(トム・ハンクス)は、前作の確執からヴァチカンと仲が悪かった。ところが、アメリカまで知恵を貸して欲しいと呼びに来る。教皇が亡くなって葬儀を行おうとしていた最中、スイスの欧州原子核研究機構(CERN:セルン)から反物質が盗まれる。そして、4人の枢機卿が誘拐されて、ヴァチカンが脅迫される。

難しいことを考えなくても、ガリレオやミケランジェロの絵画やベルニーニの彫刻とか、サンピエトロ広場や大聖堂が出てくる物語を追いかけていくだけでいい。ヴァチカン警察とスイス衛兵隊との縄張り争いや、枢機卿とそのほかの司教たちの違いなどもしっかりと描かれている。ラングトンとセルンの科学者ヴィットリア(アイェレット・ゾラー)が、謎を解きながら誘拐された枢機卿を救うために奔走する。

エンターテイメント映画として、すばらしい出来栄えだといえるだろう。ヴァチカンの格式の高さや枢機卿たちの振る舞いは、本物に限りなく近いだろう。コンクラーベの儀式も、見てきたように描かれている。映画に登場する歴史的建造物は、実際にロケを行ったシーンもある。

さすがに、システィナ礼拝堂の内部のシーンはセットでの撮影だ。でも、お金をかけて作ったので本物らしく見える。地下の図書館や金庫も、重厚感が溢れている。一番の楽しみ方は、映画に登場した現地を観光して回るのがいい。それが、できない人は映画を見て、パンフレットを買い、参考文献を調べるのが適当だと思った。ゴロゴロ。



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