お買いもの中毒な私!

表向きは買い物中毒である女の子のロマンティック・コメディだけど、裏ではアメリカ経済の病的な債務超過を皮肉った経済危機を告発する映画になっている。それほど深読みする必要はないが、傑作と言えるだろう。特に主人公のレベッカ(アイラ・フィッシャー)が、手違いから経済専門誌のライター・グリーンスカーフと名乗った設定は、オバマ大統領が推進しているグリーンニューディールを指していると思う。

クレジッドカードを使ってショッピングをするアメリカ人は、現在の経済危機が到来する前の生活スタイルだった。この主人公レベッカほどでないにしても、上昇する住宅価格のおかげで無理な住宅ローンを組んだアメリカ人が現在どうなっているか周知のことだ。また、クライスラーやGMが破産して国営企業になるというのは、アメリカ政府がドル札をどんどん刷っていることだ。

アメリカの借金つまり国債は、日本や中国などの友好国が買っている。いつまでも、ドル札を刷れば問題が解決すると思うのは、とんでもない間違いだとこの映画は教えてくれる。

一流ブランド品を身につけて、自分も偉くなった気持ちになったレベッカに、しつこいカード会社の取立て人が迫ってくる。それはさながらストーカーのような執念深さと、追われるものの恐怖感をうまく描いている。身の丈にあった生活をするには、自分を飾り立てるのではなく中身で勝負するしかない。レベッカの上司になったルーク・ブランドン(ヒュー・ダンシー)の信条は、まさにその実践だ。

地味な園芸雑誌の編集者だったレベッカは、10枚くらいのクレジットカードを持ってブランド物を買いあさる買い物中毒だった。とても安い給料ではやっていけないので、高級ファッション誌の編集部に転職を試みる。ところが、採用されたのは全くの門外漢の経済分析誌だった。

そこの編集長ルークに見込まれたレベッカは、グリーンスカーフというペンネームで「ファッションブランドについての分析」というテーマで記事を書かされる。追い詰められたレベッカは、自分の持っているブランド物の服が100%ウールでないことに気がついて記事を書く。全くの型破りだったその記事は、大受けして大評判になってしまう。

そこから、レベッカはカード会社の請求の電話をごまかしながら、買い物中毒からも抜けられないドタバタを演じることになる。買い物中毒を克服するために、サークルに参加して悩みを打ち明けたりして細部まで描写される。レベッカの借金の額約1万ドル(100万円)はアメリカの借金に比べればたいしたことはないと、彼女の父は言う。でも、彼女が最終的に取った行動しか、その解決方法はないと思う。

こういうふうにハッピーなエンディングを見ることは、不景気の世の中でとても精神的に薬になる。すべての人にお勧めしたい映画だ。原作は、ソフィー・キンセラの「レベッカのお買いもの日記」だ。これも、読んでみたい。ゴロゴロ。



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