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ニコラス・ケイジ主演の地球規模のパニック・SF映画だ。「ディープインパクト」や「アルマゲドン」などの地球上の生物が消滅してしまうような、大規模な危機を描いている。その根本にある思想的背景は、キリスト教やマヤ文明の終末論がある。特に、聖書の審判の日とかノアの箱舟の話を知っている必要がある。さらに、太陽風とか恒星風という熱と放射能を持った宇宙線が危険だということも予備知識としてあったほうがいい。

この映画の見所は、飛行機が目の前に墜落してくるシーンや地下鉄で起きる列車の衝突事故の映像と、終わりごろの大規模な熱波が襲来するシーンだ。VFXの技術が一段と進歩して、まさにその場にいるような迫力が味わえる。特に地下鉄のシーンは、列車事故の現実が詳しく描写されている。

50年前の小学生が残した数字を羅列した一枚の紙が、50年間の大惨事の日付と犠牲者の数をあらわすという設定は少し無理があるかもしれない。でも、広い宇宙の中で太陽と同じような恒星を持つ惑星の集団は、無数にある。その中に、生物が存在する可能性がある星があるのは、おもしろい設定だ。そして、太陽風や恒星風が地球上の生物に危機をもたらすのは、充分に可能性がある。

宗教に関心がない日本人が見ると、何を象徴しているのかわからないシーンが多いのでもったいないと思う。わても、映画の中で紹介されている聖書の記述を解説できるほど詳しくないが、ラストの子供二人が走っていく先にある大木が何かくらいはわかる。都合のよい展開もあるが、醜い争いの多い地上での悩みを忘れさせてくれる力を、この映画は持っている。

マサチューセッツ工科大の宇宙物理学の教授ジョン・ケトラー(ニコラス・ケイジ)の息子は、小学生のケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)だ。ケイレブは補聴器を使っているが、時々変な声が聞こえてくる悩みを持っていた。ある日学校で、50年前に埋められたタイムカプセルを掘り出す行事が行われる。

ケイレブが手に入れたのは、数字を羅列した一枚の紙だった。それは、50年前ルシンダ(ララ・ロビンソン)というその学校の子供が書いたものだった。ルシンダもケイレブと同じように、時々変な声が聞こえてきて困っていた。ケイレブが変な夢にうなされているのを見たジョンは、何気なく手にしたその紙に書かれた数字に規則性を見つける。

それは、過去50年間に起きた大惨事の日時と犠牲者の数に一致していることだった。過去の大惨事の続きにまだ数字が書かれていたので、ジョンは未来のこれから起きる事件ではないかと予測する。すると、合致する日時に飛行機事故が目の前で起きる。確信を持ったジョンは、息子ケイレブを守るために行動を開始する。

調査の途中で、ルシンダの娘のダイアナ(ローズ・バーン)と孫娘ののアビー(ララ・ロビンソン)とも知り合い共に行動することになる。付箋が非常にうまく配置されていて、謎解きのシーンも飽きることがない。特に、ジョンが講義する大学の授業の内容は、この映画を象徴している。興味のある方は、是非映画館で体験して欲しい。宇宙の中で、人間の存在のなんとちっぽけなことか。ゴロゴロ。



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