アバター、字幕版3D

ジェームズ・キャメロンが「タイタニック」以来、取り組んできたプロジェクトがこの実写フル3D映画だ。今までの3D映画よりも、映像の質が一段と高いような気がする。これは、おそらくアカデミー賞の技術部門の賞をいくつか受賞すると思う。撮影賞とか特殊効果関係や造形部門でも、受賞するだろう。2時間40分くらいの上映時間は、多くの情報量のために決して長くない。パンドラという遠い宇宙の星を舞台にしたSF作品だけど、世界観をすべて考えて作ったのだ。肝心の物語がよくある内容になっても、それを責めるのは野暮だ。

22世紀の未来、人類の住む地球は緑を失い宇宙に生活の場を求めていた。元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は下半身不随で車椅子生活を送っている。そんな彼は、5年くらいの冷凍睡眠から起きる。やっとのんびりとした生活を送ることができると思ったら、双子の兄が亡くなりその交代要員に指名される。兄が地球からかなたのパンドラという衛星で、アバタープロジェクトのメンバーだったのだ。

高報酬と不自由な足の治療を約束されて、ジェイクはやる気満々でやってくる。アバターというのは、人間が呼吸障害を起こす大気のある星で生活できるように現地住民のナヴィの体を持ち、精神は人間という存在だ。特殊な遠隔装置に入ることによって、ナヴィの身体を持ってパンドラで生活できるというわけだ。

人間の目的は、ナヴィ族が暮らしている土地の地下に眠っている希少鉱物を手に入れることだった。グレイス・オーガスティン博士(シガニー・ウィーヴァー)を中心にしたチームは、ナヴィ族と交流して平和裏にその鉱物を入手しようとしていた。ところが、海兵隊出身のマイルズ大佐(スティーブン・ラング)たちは、ジェイクに偵察をさせて武力でナヴィたちを退去させようとしていた。

ジェイクはバリバリのソルジャーの記憶が残っていたので、現地で生き残りネイティリ(ゾーイ・サルダナ)に救われる。ネイティリはナヴィ族の族長の娘で、最初はジェイクに戻れと言う。でも、ジェイクの心が純粋だと感じた彼女は、父母に紹介する。ジェイクはネイティリの指導で、ナヴィ族の一員になるための訓練を開始する。

パンドラの植物は信号を伝え合って、一つにつながっている。動物たちも、植物と意思疎通ができて星全体が生態系として機能していた。それはあたかも、アメリカ西部にいた先住民族の考え方そのものでもある。どこの国でも、自然と共存した生活を送っていた時代があった。この映画の世界は、自然を破壊している現代の人類を揶揄しているとも考えられる。

牙が鋭いサーベルタイガーみたいなザナタウ、最初にジェイクが乗りこなす鳥バンシー、伝説の戦士になるための無敵の鳥レオノプター、馬みたいなダイルホース、などの動物たちはすべて製作者が作り上げた。また、マイルズ大佐の兵器AMPスーツやヘリコプターみたいなRDAガンシップもマニアに受けるだろう。

物語の内容は、西部劇で出てくるようなものだ。それよりも、この映像革命を体験しないのは、映画史の目撃者になれないことになる。是非、映画館で3Dを体験してほしい。PANASONIC FULL HDというサイトでも紹介されているし、映画のエンディングクレジットにもあるので、この映画の技術的協力はパナソニックのハリウッド研究所が関係しているようだ。

12月25日追記、字幕版は正面に文字が出るときは見やすいがサイドに文字が出るときは見にくい。3Dを見る場合、どうも吹き替え版のほうが画面の情報に集中できるかもしれない。英語が聞こえた方が、希少金属の鉱床の広さとか訳されていない情報もわかるけど、どうなのだろう。難しい選択だと思う。翻訳の方も、困ったと思う。

1月20日追記。人気ブロガーのakoustamさんのブログ「It's a...」に「アバター3D全方式完全制覇」という記事があった。これは、4つもある3D方式をすべて見た上での比較記事で実に役に立つ。一読されたい。



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この記事へのコメント
ブログ更新がんばってください★ちょくちょくよらせてもらいまぁす★ファイト(^0^)ノシ
Posted by ゆうきち at 2010年06月05日 16:38
ゆうきちさん、ありがとうございます。
ゴロゴロとやります。
これからも、よろしくなのだ。
Posted by とらちゃん at 2010年06月05日 21:02
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