サロゲート   ネタバレないつもり

アバター」と似た映画だが、こちらは宇宙へ行かないで地球上の近未来のSFサスペンスになっている。アメリカのボストンを舞台にして、離れた場所にいる身代わりのロボット(サロゲート)が実現した近未来を描いている。ブルース・ウィルスとラダ・ミッチェル主演で、監督は「ターミネーター3」のジョナサン・モストウだ。90分という短い上映時間に、身代わりというキーワードを使うことによって濃い内容にした脚本がうまい。

義足や義手の研究は相当進んでいるが、この映画のように脳からの信号を感知して動かす方向性はあるだろう。そして、ロボット工学の発達により脳神経細胞との連結も将来像にあるだろう。その先は多少現実離れしているが、映画だからいい。軍事用に開発された身代わりロボットが、産業用にも応用される。そして、VSI社を始めとするロボット製造会社の作ったロボットが、98%の身代わり(サロゲート)になる。それに反対する人間たちは、わずか2%だが独立区を作って生身の人間として暮らしている。

そのサロゲート開発の生みの親は、ライオネル・キャンター博士(ジェームズ・クロムウェル)だ。でも、彼はサロゲートが大々的に人類に適用される前に、会社側との意見の相違から解任されていた。そして、その息子ジャレット(ジェームズ・フランシス・ギンティ)は大学生ながら、ロールスロイスに乗りクラブに繰り出している。そのジャレットがクラブから出て女性といっしょのときに何者からに襲撃されて、破壊されてしまう。本来は生身の人間には被害が及ばないはずが、ジャレットが死体で発見される。

FBIのトム・グリアー(ブルース・ウィルス)とジェニファー・ピータース(ラダ・ミッチェル)が捜査に乗り出すが、彼らもサロゲートだ。実際のトムは50代なのに、どう見ても10歳以上若い。外観を自由に選べるというのが、サロゲートのいい点だ。監視カメラ担当のボビー(ラヴィン・ラトレイ)の情報で、犯人がバイクに乗るストリックランド(ジャック・ノーズワージー)を突き止める。そこから、ブルース・ウィルスのサロゲート(身代わり)としてや生身の人間としての活躍が始まる。

トムの妻マギー(ロザムンド・パイク)も若い外見だが、サロゲート導入後に交通事故で子供を亡くしていた。というわけで、トムとマギー夫婦の間にも問題が存在した。付箋がしっかりと配置されて、それをしっかりと回収する脚本が実に見事だ。映画の冒頭からその付箋は配置されているので、しっかりと見ていないと短い上映時間を楽しめない。

この映画の現在進行形の研究として、映画にも使われているのが大阪大学大学院基礎工学研究室・知能ロボット研究室の教授石黒浩博士の成果がある。自分自身にそっくりのロボットを作り公開したとして、世界の注目を浴びている才能の一人だ。日本にこういう方がおられたというのが、非常にうれしいことだ。



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この記事へのコメント
TBありがとうございました。
ブルース・ウィルスらしい、大衆B級作品でした。
結構、楽しめて、よかったです。
Posted by かめ at 2010年01月24日 08:55
かめさん、こちらこそ。
こういう映画って、気楽に見ることができていいですね。
ゴロゴロ。
Posted by とらちゃん at 2010年01月24日 16:45
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