ウルフマン

15日ごとにやってくる夜、流れる雲から光る満月が顔を出したら体の中から血が沸きあがって体に剛毛が出てくる。全身に痛みが走り、いつのまにか自分が自分でなくなる。我に返ると手と口に血がついていて、着ていた衣服はボロボロになっている。それが、狼男である「ウルフマン」だ。映画を見ていたら、おもわず自分が狼男になった気分になってしまった。

オスカー俳優ベニチオ・デル・トロとアンソニー・ポプキンスの共演で、1941年の「狼男」をリメイクした映画だ。特殊メイクのリック・ベイカーがすばらしい仕事をしている。古典的なモンスター映画だけど、CGに頼らない撮影手法が迫力あるアクションを見せる。適度な長さの上映時間と、田舎と大都会ロンドンに二つの土地で繰り広げられるお話がメリハリになって飽きない。

1981年イングランド・ブラックムーアにあるタルボット城で、ローレンス・タルボット(ベニチオ・デル・トロ)の兄ベンが行方不明になる。兄の婚約者グエン(エミリー・ブラント)から連絡を受けたローレンスは、馬車に乗って25年ぶりに帰郷する。出迎えた父ジョン・タルボット卿(アンソニー・ポプキンス)は、冷たい態度を示す。警察から連絡を受けて、遺体の確認に行くと無残な姿の兄を見る。遺留品のメダルを手がかりに、放浪民のキャンプを訪問するが素早く移動する動物を発見する。

銃で狙撃して謎の怪物と格闘になり、ローレンスは深手を負う。しかし、放浪民の占い師マレバ(ジェラルディン・チャップリン)に傷の手当を受けて、ローレンスは助かる。そして、屋敷に運ばれると驚異的な回復を見せる。再び村で惨劇が起き、犯人だと疑われたローレンスはアバライン警部(ヒューゴ・ウィーヴィング)に捕らえられてロンドンに移送される。

精神病院に収容されたローレンスは、治療と称した拷問を受ける。満月の夜、学者の前に引き出されたローレンスは狼男に変身して逃亡する。ロンドンに避難してしたグエンにすべてを打ち明けた彼は、運命と対峙する決意をする。自分が子供のときに目撃した母の死の真相を思い出した彼は、タルボット城で待っている父と対決するために歩いて帰郷する。

母を殺してノウノウと生きている父、自分を襲い狼男にした父、25年間も狼男として生きてきた父、それは古きイングランド貴族の象徴だろう。兄の婚約者を愛してしまったローレンスは、自らの運命をのろい父の生き方を否定する。その決断は、まさに現代的なものだ。切り裂きジャックの捜査にも関わったアラバイン警部が、強くて執念を見せてくれる。その執念は、狼男にかまれる結末をまねてしまうけど。

タルボット城は、イングランド中部のダービーシャー州のチェスターフィールドという町に近いChartsworth Houseという現存している邸宅を舞台に撮影された。現在も伯爵一家が住んでいて、一大観光地になっている。高速道路や鉄道の駅からも便がよく、人気がある。



同じカテゴリー(2010年映画)の記事
最後の忠臣蔵
最後の忠臣蔵(2010-12-30 00:10)

バーレスク
バーレスク(2010-12-20 22:25)

ノルウェイの森
ノルウェイの森(2010-12-13 22:06)

この記事へのコメント
はじめまして。
当ブログへコメントありがとうございました。
また、TBのみ残した形になってしまい、申し訳ありません。
ハンドルネームが似ていますね!

この映画、やはり俳優陣が目立ちましたね。
迫力もありなかなか楽しませてもらえました。

では、今後ともよろしくお願いします。
Posted by とら at 2010年09月14日 21:50
いえいえ、大丈夫です。
トラックバックだけで充分です。
ハンドルネームが似ているので、コメントしました。
ゴロゴロ。
Posted by とらちゃん at 2010年09月14日 22:38
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
ウルフマン
    コメント(2)