白夜行、傑作です

東野圭吾の同名小説の映画化だ。堀北真希主演、高良健吾と船越英一郎共演のシリアスな人間ドラマになっている。よくもこれだけハードな内容の物語を忠実に映像化したと、製作者に讃辞を送りたい。今年の日本映画を代表する作品になるのは間違いない。以上携帯より速報。

去年「告白」や「ハートロッカー」を見たとき以来の衝撃を受けた。149分の上映時間が全然退屈しない濃厚な物語が詰まっていた。昭和55年廃墟になっていたビルから質屋の店主が刺殺体で発見される。目撃情報から店主が川向こうのバラック街に入って行ったことがわかる。その立ち寄った家には、母親と小学生の女の子雪穂が住んでいた。でもすぐに母親はガスの空焚きで亡くなる。また、質屋の妻弥生子(戸田恵子)は質屋の従業員松浦勇(田中哲司)と肉体関係にあった。質屋の息子亮司は、母の情事の最中2階に閉じ込められていた。

雪穂(掘北真希)と亮司(高良健吾)は、高校生になる。別々の高校に進んだのか、二人は直接会うことがない。でも、雪穂の周辺ではいじめをする同級生が突然おとなしくなったり、仲良しの友人が暴行に会うことが起こる。大学に進むと、雪穂はダンスサークルに所属する。そこで、雪穂はお金持ちの笹塚一成(姜暢雄)と恋仲になり結婚する。それも、雪穂は女友達からの略奪愛であった。

警察は当初、捜査本部を設置して大掛かりな調べを行う。でも、すぐに重要参考人の雪穂の母が亡くなって、捜査規模を縮小する。被疑者死亡で事件が終結になる。まだ働き盛りだった刑事の笹垣潤三(船越英一郎)だけが、腑に落ちないものを感じて関心を持ち続ける。船越英一郎演じる刑事の行動は、途中から観客の目線に移行する。なぜなら、定年を過ぎて証拠もなく他人の家に入ることはないからだ。

ラスト30分くらいの衝撃的事実がわかった瞬間の船越の演技は、すばらしい。戸田恵子演じるスナックのママが殺害された夫の性癖をもらした後の驚く表情が、すごい。雪穂を演じた堀北真希については、悲惨な子供時代をすごした女性の冷血な執念を自然に見せてくれる。高良健吾も、何食わぬ顔をして青酸カリを同棲相手に欲しいと言うシーンなど見事だ。

人間の欲望の醜い極めが、画面から観客の心に突き刺さる。誰が悪いとか真相は何かという問題ではなく、実際にこの映画に描かれている醜悪さは現代の世の中に満ちている。万人にお勧めできる映画ではないけど、骨のある作品である。子役の二人を含めて、この映画の作り手はすごい。娯楽作品ではないので、デートには向かないから注意してください。



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