抱きたいカンケイ   NO STRINGS ATTACHED

ナタリー・ポートマンが主演して製作総指揮にも関わったラブ・コメディだ。日本では一般的に精神的結びつきがあって体の関係が結ばれるけど、アメリカなどではどちらが先かは問題ではないらしい。というよりもほんとうに心が通じ合っているかは確認するのが難しい。そのジレンマを大変ユーモアたっぷりに描いていて共感する部分が多かった。電話・メール・ボード(Facebook)などで結びついていても、直接話をしないと始まらないという結論はインターネット万能社会での教訓になる。監督はアイヴァン・ライトマン。

高校生になる前からの知り合いであった二人が社会人になって再会する。エマ(ナタリー・ポートマン)はMIT(マサチューセッツ工科大)を卒業して医者の卵になった。アダム(アシュトン・カッチャー)は地元の大学を卒業して、テレビ局のADになっている。研修医のエマは週80時間労働で休む暇もなく、同僚たちとルームシェアして暮らしている。その部屋にぐでんぐでんに酔っ払ったアダムが一晩泊まり、真っ裸で朝を迎える。ズボンを探していたら、偶然エマの寝室に入り彼女とベッドインしてしまう。

高校のころからエマを好きだったアダムはすっかり舞い上がり、エマに再会した機会を逃さないで連絡先を交換する。仕事が一番大切だというエマは、アダムにセックスだけの関係ならいいと条件を提示する。それは、「けんかしない。嘘をつかない。嫉妬しない。真剣に見ない。緊急連絡先にしない。朝食をいっしょに食べない。SEXの感想を聞かない。」というものだった。場所と時間は、携帯電話とメールで伝える。

二人だけの秘密にするはずの関係はすぐに友人たちに知れ渡り、色々な場所で事に及ぶのがおもしろい。エマの妹ケイティー(オリヴィア・サールピー)は婚約して、結婚することが決まる。アダムの父は有名な俳優でアルヴィン(ケヴィン・クライン)だ。60歳近いはずなのに、体力づくりに余念がなく新しい恋人にはアダムの元カノでヴァネッサ(オフィーリア・ロヴィボンド)を選ぶ。ドタバタ騒動がしっかりといい具合に発生して、アダムの心境に変化を及ぼす。

エマの方もアダムのことが気になりはじめ、彼の自宅に押しかけたりする。普通なら携帯の電話場号とメールアドレスを聞き出すことが恋の始まりになるのだが、彼らの場合はそれがセックスの手段になっている。そして、精神的な結びつきの大切さを後になって気がつく。二人ともスマートフォンを使って時代の最先端を走っているけど、結局は直接目と目を見詰め合って話をすることでほんとうに意味で結びつく。非常によくできた脚本とキャスティング、効果的な音楽の使い方で楽しい映画になった。



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