プリンセス トヨトミ

携帯より一言投稿。万城目学の同名小説を、堤真一・綾瀬はるか・岡田将生主演で映画化された作品だ。会計検査院の三人が大阪のある財団法人に検査に入る。最初は疑問がないけど、携帯電話を忘れてもう一度その建物に入ると人がいない。ちょっとした疑問点から大阪の秘密が明らかになる。でも、物語の展開にひねりがなかった。元気な知事がいるのでもっと冒険してもよかったと思う。奇想天外エンタテイメントムービーと銘打っても、あまり驚きがなかった。

ちょうどNHK大河ドラマでも「江~姫たちの戦国」が放送中なので、大阪が注目されている。だから、こういう映画もありなのだと思う。原作小説があっても映画化すれば別物として解釈してもいい。大阪国総理大臣の真田幸一(中井貴一)は戦国大名の真田家。豊臣家の末裔とされる橋場茶子(沢木ルカ)の名前は、羽柴と茶々からきている。さらにいじめっ子の父の蜂須賀興業は、蜂須賀小六にちなんでいると思う。さしづめ、検査院の松平(堤真一)は徳川由来だろうか。ひょうたんを使った紋章は、秀吉の馬印にちなんでいるのだろう。原作小説ではもっと詳細な物語の展開があるのかもしれないけど、映画は平坦だ。

東京から出張する会計検査院の三人が、大阪の街に乗り込んで粗探しをするのが楽しく描かれている。大食いでミラクルな鳥居忠子(綾瀬はるか)は、能天気で明るくて屈託がない。セーラー服を着て学校に行く真田大輔(森永悠希)がいじめられているのを助けたり、橋場茶子(沢木ルカ)が金属バットを持って殴りこみにいくのを止めたりする。それに対して、鬼の松平(堤真一)は大阪に住んでいた父のことを隠しているし、旭ゲンズブール(岡田将生)は上司に秘密を持っている。

江戸時代を通じて政治の中心は東に移ったけど、大阪商人の財力は相当のものだったに違いない。だからこういう設定のお話があってもいい。父親が息子に大切なことを伝えることが、現代では失われてしまった。息子は独立すれば父と話もしない。大阪に父から息子への伝承する文化が残っているなら、非常に貴重なことだと思う。堤真一演じる松平元と父親役の平田満とのエピソードがしっかりと描かれているのは、好感を持った。

財団法人OJO(大阪城跡整備機構)という名前そのものが、ほんとうにユーモアに富んでいる。綾瀬はるかのミラクル鳥居が橋場茶子の暴走を止めたのを誘拐と勘違いされて、松平と大阪国総理大臣の真田が対決することになる。でも、それは単なる誤解であり鳥居が松平に連絡すれば解決する問題だろう。もう少し、物語にアクセントがあれば刺激的な映画になっていた。綾瀬はるかについては、「おっぱいバレー」よりもその意味で期待していい。

これは現在の大阪城公園の地図だ。秀吉時代の大阪城はすべて破壊されて、家光の時代に建てなおされた。それも落雷で焼失した。現在の天守閣80周年の記念事業が行われているように、1931年(昭和6年)に完成した。太平洋戦争で被災したので修理をして、平成に入ってからも近代的な工法で補修が行われている。

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秀吉時代の大阪城については、大阪城の研究というサイトの秀吉時代の大阪城を参照してほしい。大川、東横堀川、空堀通り、JR環状線に囲まれた範囲だったそうだ。
映画に登場するお好み焼き屋「太閤」があるのは、空堀町だ。そこまで、堀があったのは確実である。グーグルマップなので、適当に大きくしたりドラッグしてみてくださいね。ゴロゴロ。

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この記事へのコメント
こんにちは。
そうなんですよね。
「OJO」が、そのまま「王女」だと、原作で知った時、「やられた~」と思いました。
無くしてた子供心というか、素直に物を見る事を気付かされた気持ちになりました。
登場する大阪の方達のパワーに元気ももらった作品です。
Posted by みぃみ at 2011年06月01日 17:08
みぃみさん、こんばんは。
いろいろと楽しい映画です。
大阪宣伝映画としては、すばらしいです。

大阪城に行きたくなりますもんね。
ゴロゴロ。
Posted by とらちゃん at 2011年06月01日 19:36
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