シリアスマン

携帯より一言投稿。コーエン兄弟の「シリアスマン」を浜松のシネマイーらで見た。1960年代だと思う。ユダヤ人社会を皮肉的に描いたコメディだ。大学の講師の主人公は終身雇用の判定を待っている。ところが、妻からは離婚を切り出されるし、家族のそれぞれの問題が明らかになっていく。その中で、悠然としているのは聖職者と弁護士と終身雇用された教師だけだ。その他の迷える子羊は明日のことを心配して怯えている。なんともブラックユーモアいっぱいの映画だった。

冒頭に、悪霊に取り付かれた老人に助けられた夫がその人を家に連れてくる。夫は親切な人だと思って招待したけど、妻はその老人が死んでいることを知っていた。雪の吹雪の夜だったので、スープをご馳走しようとした。でも、恐怖におびえた妻は夫を助けた老人に包丁を突き刺してしまう。そんな気味の悪い話のあとに、映画の本編が始まる。年代は1967年だという。アメリカ中西部ミネソタ州ミネアポリスの新興住宅街、同じ形の家が並んでいる。大学の物理の教師であるラリー・ゴブニック(マイケル・スタールバーグ)が主人公だ。

13歳の息子ダニー(アーロン・ウルフ)は、ヘブライ語の授業中にラジオを聴いている。そのラジオのケースにマリファナ代金の20ドルを隠していた。でも教師に見つかりラジオを取り上げられて、同級生のフェーグルに支払う20ドルが手元から離れてしまう。長女のサラ(ジェシカ・マクマナス)は同居しているアーサー伯父さんがいつもトイレを占領しているので、がまんができない。また、妻のジュディス(サリ・レニック)は夫の友人であるサイ(フレッド・メラメッド)と結婚したいから、離縁状を書いてくれと言い出す。

ラリーというユダヤ人の男性は親切でまじめであるが、父親や夫としての役割を果たしていない。そのために、色々な難問が起きてくる。家族に愛情を注いでいるというよりも、ユダヤ社会がすべて解決してくれると思っているのかもしれない。または、よほど人がよくて全く疑いを持たないのだろう。妻が離縁状を求めるのは、ユダヤ教の教えに反しないだけの手続きだ。また、息子はユダヤ教の成人式なんて全然興味がないけど、ヘブライ語を暗記すればいいと思っている。

ブラックユーモアのかたまりのような映画で、どうみるかでその人の精神状態がわかるかもしれない。うつ病の自分は、まるで自分のようだと思った。自分の周辺で起きることは全部自分のせいで、自分が悪いと思いこんでしまう。どんどん悪い方向に受け取るから、主人公のように追い詰められてしまう。でも、授業中に取り上げられたラジオは一番偉いラビが持っていた。複雑なようで世の中、単純なのかもしれない。そういう心配をするよりも、自然の猛威である巨大竜巻からどうやって逃げるかを考えておくのが懸命だ。



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