ロック ~わんこの島~

2000年8月に噴火した三宅島から避難した家族と一匹の飼い犬の実話を元に作られた映画なのだ。5年間の長期避難をしっかり描いていて、びっくりした。犬と人間の絆、故郷に帰りたい出身者の気持ちが感動を呼ぶ。製作者の執念が感じられた。東日本大震災の現状と重なって涙が止まらない。携帯電話より投稿。

三宅島が噴火して全島避難が決定する前、小学生の芯(土師野隆之介)がロックを置いて先に避難する。車で立ち去る芯をロックが追いかけていくシーンがいい。東京に避難してきた野山一家はロックを手元で飼えないので、里親に出すことを決める。そのときは逆に、車で立ち去るロックを芯が追いかける。この二つのシーンは、芯とロックがお互いに心を通わせている証拠だ。5年間の避難生活が終わり、一家は島に帰る。里親に出したロックは本来連れて行けないのだが、父の松男(佐藤隆太)はあらかじめ帰ることになったらロックを返して欲しいと頼んだいた。

本来こういうことは反則らしいのだが、約4年後にロックが芯のことを覚えていたら連れ帰ることが可能になる。このシーンは、涙が流れてきて仕方がなかった。ロックが鼻をピクピク動かして反応する様子が、すばらしい。これは演技なのだけど、リアルな感じがした。小学生の芯は身長も高くなっていて、しっかりと4年後という設定に不自然さがない。抑制された演出で、ベタベタしていないのでよけい感動した。

三宅島で民宿「たいよう」を営んでいる野山家は、父の松男と母貴子(麻生久美子)に長男の芯がいる。少し離れて祖母の房子(倍賞美津子)が暮らしている。三宅島の人々は生きているお山といっしょに暮らしてきて、ときどき噴火するのは慣れていた。祖母の飼っていた犬が子犬を産む。多くが死産だったけど、一匹生きていた。その犬を芯が持ち帰り、自宅で飼い始める。やっとロックと芯が絆を結んだころ、噴火が起きる。

全住民が避難するとき、ロックはゲージから脱出して島に残ってしまう。数十日後、工事関係者によって発見されたロックは、火山灰で真っ黒になって発見される。東京の動物保護施設につれてこられたときは、瀕死の状態だった。なんとか命は取り留めるが、保護施設では狭くてストレスがたまる。そこで、芯は里親に出すことに自ら同意する。親の動物病院を継ぐ予定の学生がなかなかいい引き立て役になった。

ロックが里親の元で頑張っているなら、自分達も前向きに生きようとする野山家の人々がいい。犬一匹の力は、それに接して人間全員に影響する。素直に感動できる映画だった。お勧めだ。

7月26日0時20分追記。芯君の島に帰る直前の子役は、土師野隆之介ではなく佐原弘起という別人が演じていた。そうだったのか。それがわかってもこの映画に対する評価に変わりないのだ。



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