DOG×POLICE 純白の絆

「海猿」シリーズの原作者小森陽一が原案を担当し、市原隼人と戸田恵梨香が警視庁に存在する警備犬を使う警察官を演じる映画だ。警備犬は捜査の最前線に出ることなく、災害時の人命救助が主要な役割だった。いわば組織内で重要な役割を演じていない。ちょうど警備犬が所属する警備部警備二課装備第四係は、組織内の人々との協調性に欠けている人間が多い。この映画ははみ出しものが、色々な障害を乗り越えながら自分の居場所を見つける映画だと思う。犬好きな方には大変にお勧めの内容だろう。警察物の映画としてみると物足りないけど、違う見方をすると案外いい。

現場の警察官・早川勇作(市原隼人)は、爆発事件の人ごみの整理をしている。群衆の中に怪しい人間を見つけたので、一人で勝手に追いかけてしまう。止める同僚を振り切り、追い掛け回して怪しい人物を捕まえる。でも爆発事件とは全く関係ない麻薬の売人だった。早川は検挙率は非常に高いのだが、単独行動が多く組織に属した協調性がなかった。そんな部下が使えるはずもなく、警視庁警備部警備二課装備第四係に配属される。そこは、警察犬の部署ではなく、警備犬の部署だった。

警備犬は事件が起きたときの犯人の追跡をするのではなく、後方支援を担当している。たとえば、災害支援の人命救助だ。早川の指導係りは、女性の水野夏希(戸田恵梨香)だった。彼女は警官になってすぐに第四係を志望した変わり者だった。犬のことを全く知らない早川は、犬になめられて言うことを聞かせられない。そんなとき、早川は飛ばされる前に動物病院で救ったシェパードのアルピノ(劣性遺伝のために体毛が白い)の「シロ」を、早川のバディに指定される。

それはまさしく、仲間はずれにされそうになった警官と犬が自ら自分の役目を見つける物語の設定そのものだ。連続爆弾犯の正体が明らかになると、派遣社員で警備会社に勤めていたが疎外された経験を持っていた。そのように見ていくと、この映画は興味深い内容だ。

ところが、連続爆弾犯の犯罪描写が雑なのだ。さらに、警察組織の決まりごとを簡単に破る場面が多いのだ。爆弾犯が挑戦状をたたきつけてきて、第四係が最前線に車両で駆けつけるシーンがある。あまりにも都合がよすぎて、矛盾していると思ってしまう。製作者サイドの問題で、特に脚本や監督の責任だと思う。

常に無線連絡をしていないといけないのに、なぜ登場人物は簡単に無線を切ってしまうのだろう。無線を切る必然性が欲しい。これらもろもろの点がうまく描かれていたら、もっとよくなったと思う。



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