ハードロマンチッカー

グ・スーヨン監督が自身の故郷下関を舞台にした小説を原作に映画化した。北野武監督のバイオレンス映画みたいだけど、若い俳優を起用した勢いのある映画になっている。主演の松田翔太が切れまくっていてすばらしい。格好いいし、凄みを感じた。登場人物が多いので物語がうまくわからないけど、それもいいだろう。こういう妥協のない映画は、見ていて気分がいい。

下関に住む高校中退のグー(松田翔太)は、在日韓国人で暴力漬けの毎日を送っている。バーテンのアルバイトをしているけど、誰ともつるまないで一匹狼を気取っている。敵対する朝鮮高校の出身者やヤクザ、警察にも知り合いがいる。いままではなんとか自分で解決できてきたけど、ある日の後輩の不始末から抜けられない落とし穴にはまっていく。後輩の辰(永山絢斗)とマサル(柄本時生)が、敵対する朝鮮高校のキムチョンギ(遠藤雄弥)の家を襲撃して祖母を殺してしまう。カツアゲされた仕返しだった。マサルは警察に捕まるが、辰は逃げてくる。

自分が仕返しするなら親兄弟にするのがいいと言ったので、後輩たちがやばいことをしたと責任を感じる。グーは真相を探ろうと聞いて回るけど、反対にやっかいなことに関わっていく。郷野組の組員庄司(真木蔵人)は幼馴染であるけど、もしものときがあったらとコインロッカーの鍵を預けられる。組の仲間には頼めないというので、何かやばいことらしい。チョー高(朝鮮高校)のOBでボクサーのパクヨンオ(遠藤要)からも、目をつけられる。

下関にいられなくなったので、小倉でバーなどを経営している高木(中村獅童)にスカウトされて海峡を渡る。キャバレーのホールマネージャーとして働き始めるが、病気で入院中だった祖母(淡路恵子)が小倉までやってくる。幼馴染の庄司が半殺しになったと伝えに来る。無理やりタクシーで連れ戻されたグーは、仲間からも朝鮮高校の連中からも追いかけられることになる。

合コンをしていた女子高生を使って売春をさせている者もいる。合コンの場から連れ出した中村みえ子(小野ゆり子)は小倉に行ってからも連絡してきたが、小遣い稼ぎをしていた。郷野組の親分は刑務所に入っているので、若頭(白竜)は姐さん(真木よう子)とできていた庄司を半殺しにしたのだ。その庄司が姐さんに病院のベッドで殺されてしまうのは、恋も命がけということか。

ラストのシーンは、祖母を殺された朝鮮高校のキムから復讐されたのだと思う。銃撃の様子が描かれているけど、それは想像するしかない。グーの消息は不明となっている。たぶん彼は、原作者で監督のグ・スーヨンの若き日の思い出の中にいるのだろう。地元で撮影しているのでフィルムコミッションが協力している。地方発の映画としてこんなすごい映画は絶対に撮れない。もし可能なら、このくらいぶっ飛んだ内容もいいかもしれない。



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