ゴーストライター  THE GHOST WRITER

もうDVDが発売されているけど、とら地方ではやっと遅れて街の映画館で公開された。名匠ロマン・ポランスキーが製作・脚本・監督と担当し、ロバート・ハリスの原作をユアン・マクレガー主演で映画化された。この映画は一見するとサスペンスなんだけど、トニー・ブレア元首相を皮肉ったブラックユーモアたっぷりの物語なのだ。元首相の自叙伝を執筆するゴーストライターとして雇われた主人公は、活字にするのは元首相の名前でないといけない。それが自分の筆で物事を書いたら、それなりの責任が付きまとうのだ。陰謀の結末も気になるのだけど、ゴーストライターの末路も見ごたえがあった。

映画冒頭、フェリーから車が下りてくる。一台の車が動かないで取り残されて、元英国首相のアダム・ラング(ピアーズ・ブロスナン)の自叙伝を書いていたゴーストライターが溺死体で発見される。ロンドンでは、一人のゴーストライター(ユアン・マクレガー)が出版社の面接を受けていた。そこには元首相の弁護士クロール(ティモシー・ハットン)も同席していた。迎合しない態度で面接していたら、1ヶ月以内に自叙伝を仕上げる仕事を引き受けてしまう。報酬は破格の25万ドルだという。その日の晩にヒースロー空港を飛び立ったゴーストは、アメリカの東海岸にある孤島の屋敷に連れて来られる。

空港で見たテレビで元首相が、アラブ系の人間を護送して拷問した犯罪に加担したと言っている。秘書のアメリア(キム・キャトラル)は、自叙伝の執筆に当たり守秘義務契約を締結して原稿の持ち出し禁止だという。妻のルース・ラング(オリヴィア・ウィリアムズ)は、非常に機嫌が悪い。アメリカを講演旅行で回っていたアダム・ラング(ピアーズ・ブロスナン)が帰ってきて、話を聞きながら自叙伝を書き始める。そして、宿舎には原稿を持ち出せないので、主の屋敷に寝泊りして書くことになる。

そこで始めて前任者のいた部屋に入る。前任者が極秘裏に残した写真類を見つけたゴーストは、自転車で前任者の遺体が打ち上げられていた海岸を調べたりする。地元の老人に聞くと、あそこには海流の関係で上がらないと言われる。また、遺体発見場所の近くにすむ人は、懐中電灯を見たと証言していた。もはや、前任者は自殺でも事故でもなく、殺されたのだと確信する。

途中で、イギリス人ならどう発言するとかというジョークが何回も出てくる。これはもしかすると、映画全体がブラックジョークになっているかもしれないと思った。ゴーストは、前任者が使っていたBMWの車に乗ってナビの指示するままにフェリーに乗ってみる。すると、ハーバード大学の教授でケンブリッジにも留学したことがあるポール・エメット氏(トム・ウィルキンソン)の屋敷に到着する。間違いなく前任者は、この屋敷に来て殺されたのだと確信する。

なんとか追ってきた男たちをフェリーでまいて、ゴーストは元首相の自家用機に拾われる。ゴーストは元首相に詰問するが、疑惑を笑い飛ばされる。その後、元首相の自叙伝は出版される。その出版パーティーに出席したゴーストは、やっとことの真相を理解する。彼はゴーストなのだから、自分のペンで書いたものを人に見せてはいけなかった。ジェームズ・ボンドを演じた俳優に英国首相にならせて、このエンディングが来た。ロマン・ポランスキーは、贅沢なブラックユーモアな映画を作ったものだ。アメリカのシーンはドイツで撮影したそうだ。



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