トータル・リコール

シュワルツェネッガー主演の1990年版をわては映画館で見た記憶がある。顔が変わるシーンでテープがはがれるような演出だったのが、今作では首輪みたいな装置で本当に顔が電子的に変わった。ほかにも電話が手に埋め込まれていたりとハイテク満載だ。さらに舞台が地球の裕福な人々が暮らす地域と搾取される地域に分けられて、主人公は体制維持の秘密を握っているという設定だ。記憶を操作できるようになった世の中では権力維持のために、他人のそれを操作する。主人公たちが繰り広げるアクションは洗練されていて、最新のサイエンスが描かれていた。実に面白い。監督はレン・ワイズマン、原作はフィリップ・K・ディックだ。

地球規模の戦争によって化学的に汚染されて、居住可能な地域はブリテン連邦と地球の反対側のオーストラリア大陸だけに人間が住んでいる。ブリテン連邦は裕福な人々が暮らす場所で、反対側には労働者階級が住んでいる。労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は妻ローリー(ケイト・ベッキンセイル)と幸せに暮らしているが、毎晩悪夢に悩まされている。仕事に行くには地球の反対側まで貫通するエレベーターみたいな乗り物で通う。重力が逆転するシーンもあって信憑性が高い。

毎日の退屈な生活を解消するには、リコール社という寝ている間に夢を見るような記憶を植えつけてもらう娯楽施設があった。同僚の紹介でその場所を見つけたクエイドはちょうどマシーンの座った段階で、ロボット警官隊の襲撃を受ける。しかし、身体が勝手に反応して警官隊をやっつけてしまったクエイドは自分の能力にびっくりする。自宅に戻ってみると、妻のローリーは「あなたはクエイドではなく自分も妻ではない」と言い出して、襲撃してくる。なんとか逃げ出したクエイドは、メリーナ(ジェシカ・ビール)という謎の女性に救われる。

生活空間が高層ビルの組み合わせみたいになっている。少ない居住可能空間を有効に使うためだろう。エレベーターが正方形で縦横上下左右と3次元で動くことができる。また、自動車のような乗り物は空中に浮かんで移動できて、走るレーンが決まっている。妻だったローリーはスパイであり、主人公の見張り役だったという。そして、メリーナは支配者階級に対抗するレジスタンスに属しているというのだ。警官はほとんどがロボットで、支配階級は一部の人間しかいない。

クエイドの正体が実は体制側から派遣されたハウザーというスパイで、レジスタンスに寝返ったので記憶を変えられていたことがわかる。支配者側はハウザーを取り込もうとするし、ハウザー自身もどっちにつけばいいのか迷う。でも、メリーナといっしょに行動するうちに支配者側の身勝手な論理に反対する立場になっていく。それにしても、人間の記憶を図式化して解明したり、記憶が暗号化されていたりと発想がいい。アクションも飽きることがないほど、見事だ。テンポもいいので、映画館を出るときの爽快感がたまらなかった。



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