ストロベリーナイト

フジテレビ系列の警察映画というと「踊る」シリーズなんだけど、随分と様変わりしたものだ。警察内部の保身、捜査体勢の硬直化、合同捜査本部の縄張り争いなどが克明に描かれている。さらに、主演の竹内結子演じる姫川主任が捜査の関係で暴力団の若頭と親しくなってしまう。原作の誉田哲也の小説「インビジブルレイン」を忠実に映画化したためだといえ、思い切ったものだ。明るく楽しい映画を期待してはいけない。骨太な映画を見たいなら、自信を持ってお勧めできる。保身に走らないで正義を貫こうとする警察官がいることを確認できるからだ。海外配給も考えていいレベルになっていると思う。

警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子(竹内結子)は、ノンキャリアながら実績を積んで昇進してきた。殺人事件の捜査をする部署で成果を出してきたのは並大抵のことではない。高校生のときに暴行事件の被害者になり、重症を負う。そのことを今でも忘れない執念が彼女の捜査への執念になっていた。ある日、姫川班の管轄で暴力団のチンピラが殺される。片方の目に傷をつけて殺すという猟奇的な特徴があった。その事件が連続しておき、すべての被害者が暴力団関係者だった。そのために、捜査一課と組織暴力対策四課との合同捜査本部が設立される。

暴力団対策の方々は、いかつい背格好の捜査員ばかりだ。その方々と最初の会議で、姫川は捜査方針をめぐってやりあう。ここまで度胸が座っていると、菊田(西島秀俊)・葉山(小出恵介)・石倉(宇梶剛士)らの部下も団結する。井岡(生瀬勝久)のキャラだけは笑いをとっている。四課の方々は当然暴力団同士の抗争がらみだと思い込むが、姫川は先入観を持たないで調べをすすめる。捜査会議が終わって誰もいない時間に、「犯人は柳井健斗だ」という匿名の電話を姫川が受ける。

最初は「やないけんと」しかわからないけど、調べてみると9年前の殺人事件の被害者の弟が柳井健斗だった。その父親は容疑者として取締を受けて、警察署内で警官の拳銃を奪って自殺していた。その事実は闇に葬られ、弟の行方は不明だった。警察は不祥事を蒸し返されたくないので、姫川や日下(遠藤憲一)に和田(三浦友和)・橋爪(渡辺いっけい)らの幹部に口止めをする。そこで、姫川は単独で捜査を続ける。暴力団に全く知識のない姫川は、不動産屋と称する牧田(大沢たかお)と知り合う。牧田は柳井を探していると言い、姫川に近づいていく。牧田は、龍咲組という暴力団の若頭で会長の信頼が厚い存在だった。

幹部たちの警告にも関わらずどんどん捜査にのめり込んでいくと、姫川は牧田の正体を知ってしまう。それでも真実を得ようと、姫川は牧田と寝てしまう。この展開にはさすがにびっくりした。竹内結子がそこまでやるとは、思わなかった。真犯人は柳井健斗(染谷将太)だと観客も思い込んでしまうけど、それが違うのだから仰天した。柳井は姉の仇をうつために、暴力団への情報屋をしていた。ネットや警察無線を傍受して、ハイテクな情報屋だ。これだけの濃い内容にして、エンディングもすっきりしていた。リアルな描写に驚いてしまった。


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