リンカーン

スティーヴン・スピルバーグ監督・製作、ダニエル・デイ=ルイス主演でエイブラハム・リンカーンの偉業達成の足跡を描いたものだ。南北戦争の真っ最中に大統領2期目を迎えて、奴隷解放を合衆国憲法修正第13条に盛り込むことに悩んでいた。その詳細はあまり知られていなかったけど、一人の人間として家族関係や議会対策などの裏の部分を真正面から描いた。2時間を超える上映時間ながら、南北戦争の終結に向かっていく締めくくりは感動する。伝説になる悲劇も泣かせるものではない。アカデミー賞主演男優賞は納得の結果だ。

1860年11月に大統領に当選したリンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)は、奴隷制に反対だった。北部と西部の州で選挙人を多く獲得したので当選できたけど、南部の州ではリンカーンの考えを受け入れがたいものだった。南部の州が合衆国を離脱したので、海軍で攻撃をする。ところが、戦争は膠着状態に陥る。1864年11月に二期目の大統領になると、戦争を早く終結させてアメリカを一つにする方法を探し始める。それには、アメリカという国が多くの黒人労働力で成り立つ産業で富めるようにする必要があった。

奴隷解放宣言をしたものの、法律の裏付けがなかった。なんとかするためには、憲法で奴隷制度撤廃を定めた修正13条を成立させないといけない。2期目が始まる3月までの期間に、下院を通過させないといけない。下院に残っている議員は再選を決めた人もいるが、落選した人もいる。議員の3分の2の賛成が必要なので、出身の共和党だけでなく民主党からも賛成者を出さないといけない。そこで、リンカーンは可決に足りない20名を獲得するために説得を始める。

落選した議員に故郷に戻ってからの職を斡旋する。世界中が我々の決断に注目していると閣僚や議員を説得する迫力がすばらしい。また、子供を病気で亡くして精神的にまいっていた妻メアリー(サリー・フィールド)を、自分の責任のために話し相手になってやれないと彼は苦しむ。さらに、大学生の長男ロバート(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が戦争の悲惨さを見て北軍に入隊してしまう。メアリーはますます精神的に追い詰められてしまう。

黒人のメイドを妻にしていた奴隷解放の急進派タデウス・スティーブンス(トミー・りー・ジョーンズ)は、リンカーンと話して「法のもとでの平等」という穏健な演説を行う。それが一つの流れになって、風向きが変わっていく。議員の多数派工作で、ロビイストが3人登場する。現在のロビイストは支持団体の利益を導く策略を行うけど、昔の彼らは大統領の理想を実現するために働いている。議会でのやり取りが大変に白熱していた。アメリカを理解するためにも、必見の映画だ。

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