グランド・マスター

「2046」や「花棒年華」のウォン・カーウァイ監督がトニー・レオンとチャン・ツィイーを主演に迎えて、ブルース・リーの師匠である伝説の武闘家の半生を描いた物語だ。清朝崩壊後の混乱期から日中戦争と香港成立までを生き抜いた武闘家を主人公にした大河ドラマという趣だ。映像センスが素晴らしいので、一つ一つのシーンが名画のように綺麗だ。政治色を持たせないで、人間の生き方に焦点を当てた芸術性の高い内容だった。ただ、若干眠くなるのが欠点だろう。予告編の作り方が映画の方向性と違うのが残念だ。

中国拳法には多くの流派があり、それぞれの長「宗師(グランドマスター)」も多くの弟子を抱えている。清朝が崩壊して中国の人々が一つになる必要があるのを武闘家たちも考えていた。南北の各流派が広東省の佛山に終結する。北の八卦掌の宗師・宮宝森(ゴン・パオセン:ワン・チンシアン)は引退を決意して、南北流派の統一を若者に任せることにする。

第一候補は一番弟子の馬三(マーサン:マックス・チャン)で、ライバルは南の詠春拳の宗師で人格者の葉門(イップ・マン:トニー・レオン)だった。宗師の娘で奥義六十八手を受け継いだ宮若梅(ゴン・ルオメイ:チャン・ツィイー)は、父の反対を押し切って後継者に立候補する。ところが、小競り合いが起きてしまい収拾をつけるために、パオセンは後継者をイップマンに指名する。血気盛んな若者たちは、それで簡単に収まるわけがなかった。

凶暴な性格のマーサンは、師匠のパオセンを殺してしまう。マーサンは南方から逃亡する。父の復讐を果たすために、ルオメイは女の幸せを捨てて武闘家として生きる決意をする。旧日本軍が占領している満州にマーサンは逃げていた。ルオメイは、親の仇を追って復讐を成し遂げる。ところが、旧日本軍が侵略を開始して、日中戦争が始まってしまう。もはや武闘家が武闘家として生きる方法はなくなり、かつての弟子が経営する料理屋で働いたりして生きることになる。

特にイップマンの紆余曲折に富んだ経歴は、大河ドラマのように山アリ谷アリだ。トニー・レオンは、すばらしい存在感を示している。「初恋のきた道」から知っているチャン・ツィイーは、実にいい女優になった。純真な少女から大人の女へ、いい具合に変化した。2時間の上映時間のそれぞれのシーンが、しっかりと素晴らしいアングルの写真になっている。ウォン・カーウァイ監督の見事な映像感覚だ。

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