真夏の方程式

東野圭吾原作のガレリオシリーズ、映画化第2弾だ。福山雅治演じる天才物理学者湯川学が、大活躍して複雑な殺人事件を解決に導く。吉高由里子との掛け合いや万年助手の登場はなく、恭平(山崎光)という少年や旅館を営む杏・風吹ジュン・前田吟らとのドラマがたっぷりと展開される。16年も前の殺人事件を掘り返す元刑事はいくら真相を追求するとはいえ、その動機は個人的興味だと思う。湯川が一般人だという大前提があるから、こういう物語が成り立つ。映画を見終わって少し涙が出そうになるほど切ない内容だった。

突然数式を書き始めて、物理的な解釈から事件の謎を解くシーンはない。また、岸谷美砂(吉高由里子)や万年助手との面白い掛け合いもない。その代わりに、海辺の町玻璃ヶ浜で旅館を営む川畑家と親類の少年恭平が登場する。20代後半の娘成実(杏)、母節子(風吹ジュン)、父重治(前田吟)は、旅館「緑岩荘」を営んでいる。夏休みの間だけ預けられた恭平は、同じ列車で湯川と町に到着する。携帯電話を電車内で使っていて文句を言われた恭平を助けたのは、子供が嫌いな湯川だった。

湯川はレアメタルの海底からの採掘事業の地元説明会のゲストとして招かれたのだった。まだ調査も始まっていないけど、小さい町は賛否両論別れて揺れていた。そんな町民を前にして湯川は、「今の日本にとって資源探査をするかしないかは、選択の問題」だと突き放した説明をする。反対派の成実(杏)は声を大きくして発言する。同じ宿に泊まっていた元刑事の塚原(塩見三省)が、その翌日海の堤防の下で死体で発見される。地元警察は事故死だと考えるけど、身元が判明して警視庁から岸谷美砂(吉高由里子)がやってくる。

元刑事の塚原は、16年前の三宅伸子(西田尚実)殺害事件を退職後も追っていた。その殺人事件の犯人は裁判を受けて刑に服した仙波(白竜)という人物だった。その仙波という老人が出所したので、その手がかりを求めて川畑一家のところにやってきたのだ。実際にその事件が起きた東京では、岸谷一家の三人が関係した。でも、仙波英俊は行方がわからなかった。湯川は、元刑事が見つかる前夜に重治と恭平が旅館の前で、花火で遊んでいることから旅館の部屋を調べ出す。

すると、旅館のボイラーが不完全燃焼を起こして一酸化中毒で死亡した可能性が浮上する。もうその時点で湯川には真相が予想できていた。でも、湯川は恭平といっしょに200m先の海の先までペットボトルを使ったロケットを飛ばす実験を始める。最初は100mくらいしか飛ばないけど、ペットボトルの中に入れる空気を調整したり角度を変えたりして200mの先まで飛ぶ。そのロケットの中に携帯電話を入れて、海の中を恭平に見せてやる。人生で色々な困難が降りかかってくるけど、試行錯誤しながら進めばいつかは成功するということを実験で示している。

恭平が大人に近づいて帰っていくシーンが非常にうまくできていた。特に迎えに来た父親と話もしないで、湯川が恭平の前から消えるのが粋な演出だ。
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