エリジウム

「第9地区」のニール・プロンガンプ監督が製作・脚本も担当して映画化した近未来SFアクション大作だ。実によくできた脚本で情報量が大変に多いのに上映時間は短いというすばらしい内容だった。環境破壊や貧富の差、医療保険の差別などが濃い密度で表現された映像ながら、娯楽的にも充分に楽しめる内容になっている。言葉で説明しなくても、出演者たちの行動や使っている武器に乗り物や設備を見れば人々の置かれた状況がわかる。

2154年ロサンゼルスの地上では、ビルが朽ち果ててスラム街になっている。貧しい大多数の市民が地上で暮らしている。その400km上空には月くらいに見えるスペース・コロニー「エリジウム」が浮かんでいて、数千人の限られた富裕層しか住んでいない。現在研究が進んでいる宇宙ステーションの巨大版で、居住区が回転することで重力を生み出して地上にいるのと同じように生活できるのだ。医療面では最先端の再生医療によって、どんな病気でも完治できる装置があった。

主人公マックス(マット・デイモン)は泥棒稼業から足を洗い、アーマダイン社のロボット工場で工員として働いている。マックスが作っているのは、自分たちを監視したり取り締まるロボットだ。病院で幼馴染の看護師フレイ(アリシー・ブラガ)に出会うけど、マックスと話をする暇もない。役人がロボットで代用されていて、決まりきった対応しかできない。工場では工員たちと責任者の身分の差が厳しくて、逆らうことができない。アーマダイン社のCEOジョン・カーライル(ウィリアム・フィクトナー)は富裕層の中で、唯一地上で暮らすものだった。

上空のエリジウムでは、防衛長官のデラコート(ジョディ・フォスター)が地上の不正分子の取締に躍起になっていた。時々やってくる地上からの亡命宇宙船を撃ち落とす強行策を実行して、総裁のパテルと対立していた。ある日、マックスは仕事中に放射線を浴びてしまい、あと5日間の命だと診断される。マックスが助かるにはエリジウムにある医療ボットに入るしか方法がなかった。デラコートは強行策を避けたがる総裁から権力を取り上げるために、システムを再起動するプログラムを考える。

マックスは、骨髄性白血病で苦しむフレイの娘の治療のためにもレジスタンスのスパイダー(ワグネル・モウラ)らの助けを借りながら、エリジウムに帰還しようとするカーライルを誘拐する。そして、カーライルの脳内にあるプログラムを自分の脳に転送する。ハイテクを逆手に取った革命が怒涛のアクションとともに、展開される。医療ボットも重力を調整した宇宙ステーションもそのうち現実になりそうな感じがした。それにしても、この映画の情報量は莫大で驚かされる。

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