悪の法則

コーマック・マッカーシー脚本・リドリー・スコット監督で作られた犯罪サスペンスだ。時間の都合で日本語吹替版を見たけど、スペイン語は原語のままだった。字幕版も同じ扱いだろう。英語が聞き取れるなら字幕版がいい。本来意味がわからないはずのスペイン語が身振り手振りでしゃべっている内容を想像できるのに、英語のセリフがやたらと長いので返って意味がわからない状況になった。文学的な内容で活字にすれば味わいあるセリフも、説明的にしゃべられると魅力が半減した。原作者は原作に徹するべきだった。

せっかく、刑務所に服役しているルース(ロージー・ロペス)がスピード違反をした息子の罰金を払うように弁護士カウンセラー(マイケル・ファスペンダー)に依頼して、娑婆に出したという決定的な出来事があるのに。その出来事を中心にして、周りに登場人物を配置した方がよかったのではないか。配給会社の宣伝文句と見たあとの印象があまりも違うのだ。多分金に困ってやばい仕事に手を出した弁護士は、まったくそれに向いていない。宝石商や仲買人のウェストリー(ブラッド・ピット)からも警告を受けていたのに、全然頭に入っていない。

弁護士の婚約者ローラ(ペネロペ・クルス)に至っては、マルキナ(キャメロン・ディアス)からダイヤについてのうんちくを詳しく聞こうとしない。値段を聞かない時点で、無邪気すぎると言わざるを得ない。マルキナはチーターが大好きで、背中にも刺青をしているくらいだ。彼女は、愛人ライナー(ハピエル・バルデム)に直接「やばくなったら私はいなくなる」と宣言している。逃げ足が早いということを意味しているのだろう。

メキシコからドラム缶に入れた麻薬は、汚水処理の車のタンクに隠されて運ばれる。タンクの中の汚水を空にして調べる検査官はいないと見越している。国境を超えた車は、汚水処理の会社に無事到着してうまくいきそうだった。でも、スピード違反から釈放されたバイク野郎が何者かに狙われて、計画が破綻する。バイクの息子を殺したのは弁護士ではないけど、刑務所にいる母親の怒りを買ってしまった。また、警官に化けた組織の人間にも疑われる結果になった。

弁護士が最後に助けを求めに行くのは、組織の側の人間だろう。そこに婚約者のローラが首を切られて殺されたであろうDVDが届く。また、まんまとロンドンに逃げ延びた仲買人を追っていたのは、足の早いマルキナだった。そんな物語なのに、やたらと長いセリフのために映像で魅せる映画ではなくなってしまった。

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