1/11 じゅういちぶんのいち

中村尚儁(たかとし)原作の同名漫画を、ショートフィルムで数々の賞を獲得した片岡翔が長編デビューとして監督・脚本を担当した。若手俳優ばかりが出演しており有名な人はいないけど、野球部監督に初芝清やサッカーのコーチに元日本代表の山口泰弘や元なでしこの大竹七未を使っているのが適役だ。サッカー部が存在しない神奈川県の進学校で、中学でサッカーを諦めた生徒が11名の部員を集めて練習試合をするまでの過程を描いている。エンディングに向けて収束する演出が見事で唸ってしまった。

今や子どもたちのなりたい職業の一番はプロサッカー選手だ。そのおかげでJリーグの裾野は大きく広がっていて、選手層も厚い。高校を卒業したらすぐにJ1にスカウトされる選手はほんの一握りだ。若宮四季(竹富聖花)のように15歳でなでしこジャパンに入るような天才も出現するけど、一部でしかない。多くのサッカー少年少女はプロになることなく、アマチュアで競技人生を終える。でも、高校生で諦めるのは少し早いのかもしれない。

安藤サラ(池岡亮介)は中学最後の大会で大敗して、勝ち上がった相手も全国大会初戦で負けてしまう。高校に入ったら、サッカー部がない。帰宅部に所属していたけど、同じ年齢でなでしこジャパンに選出されてアメリカのクラブに移籍する若宮四季に出会う。その少女とサッカーの対戦をして楽しいと感じた安藤は、中学校のOB戦に出ることにする。そして、高校でサッカー部を立ち上げてマネージャー篠森仁菜(上野優華)の助けを借りながら部員を集めていく。

中学で野球部の補欠だった越川凜哉(工藤阿須加)は、高校デビューの帰宅部にいる。写真部のカメラオタク柏木千夜子(古畑星夏)は、越川と同じ中学出身だ。サッカーのジュニアユース出身の野村瞬(阿久津慎太郎)は、才能がないとコーチに言われてサッカーをやめて演劇部に所属している。演劇部の部長小田麻綾(東亜優)は、野村の演技にダメ出しばかりしている。サッカー部のマネージャー篠森は、父親から部活動を反対される。

高校時代に誰しも経験したことがある葛藤が、実に丁寧に描かれている。自分は高校1年生の時ワンダーフォーゲル部に所属していたけど、進学のための勉強を理由に退部した。それが正解だったのかなんて、今から思うとわからない。でも、最後までやり遂げなかった後悔は今も抱いている。すべては自分で決めるべきことだと思う。自分がなんの役にも立っていないと卑下しないで、ビデオの音だけを聞くシーンがいい。そして、橋の暗闇を境界線にした安藤サラと若宮四季の別れの演出がよかった。

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この記事へのコメント
とらちゃん、
慌ててみてくれたということ、
感謝です!
Twitterでも宣伝してくれてありがとうございます♪
これからも、色々な作品撮って行くと思うので長い目で応援よろしくお願いします(^o^)/
Posted by mig at 2014年04月16日 13:03
migさん、こちらこそいつもお世話になっています。
最近体調がよくなくて映画館に行けなかったけど、migさんの弟さんが監督とあれば見ないわけにはいかない。
しかも、内容がよかったので自信を持ってお勧めできます。
コメントありがとうございます。ゴロゴロ。
Posted by とらちゃんとらちゃん at 2014年04月16日 13:40
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