WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

「ウォーターボーイズ」「ロボジー」の矢口史靖監督が、三浦しをんの小説「神去なあなあ日常」を映画化した。大学受験に失敗して浪人するのも嫌なので安易な気持ちで林業の現場に入った青年が体験する様子をコミカルに描いている。林業研修や農業研修という形で都会の若者を受け入れる試みはたくさんあるのだけど、なかなか定着するのは難しい。そんな苦い経験を村の女性・長澤まさみに演じさせ、何の目標も持っていなかった青年が成長していく様子を演じた染谷将太が生き生きと輝いている。クライマックスの山の神のお祭りがほとんど実写だというので、びっくりした。

脳天気な高校生活を送った平野勇気(染谷将太)は、すべり止めの大学にも受からずに浪人することになる。彼女に1年後同じ大学に入ると告げるけど捨てられて、浪人もしたくないと思う。勇気は旅行代理店のパンフレットに紛れ込んでいた林業研修の美女に気を取られて、応募することにする。新幹線で名古屋まで来て、私鉄に乗り換えて一両編成のディーゼル機関車で村までやってくる。そこは携帯の電波も届かないようなとんでもない場所だった。1ヶ月は林業組合の事務所で座学やチェーンソーの実技を習う。そして、研修生たちは現場に派遣される。

勇気がやってきたのは、神去(かみさり)村の中村林業の現場だった。マムシ酒を常用する飯田ヨキ(伊藤英明)の家に世話になる勇気は、凶暴な先輩に圧倒される。精力満々の飯田ヨキは勇気に、「林業を舐めとったら死んでしまうぞ」と怒鳴り散らすスパルタ教育を施す。飯田みき(優香)との間に子供がないけど、夫婦仲には一悶着ある。最初の現場では斜面を滑り落ちて、ヒルにお尻を吸い付かれる。ライターでヒルを焼かないと無理なので、そこで大笑いした。また、神去村の小学校の先生で石井直紀(長澤まさみ)がパンフレットの美女だと気がついてときめく。

ところが、直紀は林業研修で知り合った青年と恋に落ちたが、その青年があまりの田舎に嫌気がさして都会に帰ってしまった。直紀は林業研修の男性をよく思っていないのだ。また勇気もナタを使った枝打ちやチェーンソーを安全に使うようになるのが遅い。チェーンソーもたくさんの種類があって刃の長さが、2倍くらい違う。小学生にヒルに食われたやつとバカにされて、鬼のような先輩からは厳しく指導される。

杉の種を採取するために30メートルの高木の頂上に登って、そこから見渡す景色がすばらしい。山に入ってはいけない日に子供が行方不明になってしまう。村人総出で探索をするが、子供は見つからない。勇気は山の恐ろしさを知らないので、どんどん山奥に入っていく。正体不明の手に導かれて山の頂上まで行き、迷子を連れて帰る。

そこまで村に貢献しても、勇気は村の祭りの大山津見神のメンバーに簡単に加えてもらえない。親方の中村(光石研)がご意見番の山根(柄本明)を説得する。祭りの当日にバイクの直紀に行列の先頭まで送ってもらうトラブルが起きる。それも愉快なシーンだ。ご神木を切り倒して山から滑り落とす神事は数十年に1回のものだ。悠久の歳月を費やす林業の繁栄と人間の子孫繁栄を願っている。笑いの中にも、山の神への畏敬の念が表現されていた。

トラックバックURL
http://torachangorogoro.blog.fc2.com/tb.php/158-6c69dec1



同じカテゴリー(2014年映画)の記事
海月姫
海月姫(2014-12-30 23:50)

バンクーバーの朝日
バンクーバーの朝日(2014-12-22 21:17)

ゴーン・ガール
ゴーン・ガール(2014-12-12 23:26)

チェイス!
チェイス!(2014-12-09 21:21)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~
    コメント(0)