インターステラー

クリストファー・ノーラン監督が、理論物理学者のキップ・ソーンを製作総指揮に迎えて科学的に全面協力を得て映画化したサイエンス・フィクションの傑作だ。彼自身のワームホール理論やアインシュタインの相対性理論を元にブラックホールなどの映像を作り上げたという。砂漠化する地球が危機に見舞われて、人類を救うために未知の惑星を探索する旅に出る父の宇宙の旅の様子と地球で待つ娘の愛の物語をテーマにしている。これはとんでもない映画だと思う。「2001年宇宙の旅」に匹敵するような映画史に残る可能性があると感じた。

前半の宇宙に旅立つ前、トウモロコシ畑で農業をしている父クーパー(マシュー・マコノヒー)が10歳の娘マーフ(マッケンジー・フォイ)と本棚の異変をめぐってやりとりをする。父が宇宙へ行ってしまうのをなんとか止めたい娘は、色々な手を使って時間をかせぐ。そのやりとりが、映画の終盤につながっているのだ。170分近い上映時間なので、トイレ中断がないように準備をしっかりしてほしい。近未来の地球で植物が生育できなくなる原因は砂漠化だと思う。映画でも雲のような砂嵐が出現するので、間違いないだろう。植物が生育できないことは、動物も生き残るのが難しい。おそらく海に生息する魚類にも影響がある。

ということで、人類は生存の危機に瀕している。人口は減少して、戦争どころではないだろう。秘密裏にNASAの組織が地下で残されて、ロケットを準備していた。宇宙飛行士の経験のあるクーパーは、ブランド教授(マイケル・ケイン)に説得されて超遠距離惑星間飛行に挑戦することになる。15歳の息子トム(ティモシー・シャラメ)はもう大人として接することができたけど、10歳の娘マーフは父親と離れるのを嫌がる。必ず帰ってくるという約束をするけど、大量の凍結受精卵を持参して宇宙に旅立つということと矛盾する。もはや、帰ってくることはないとわかっていても、幼い娘にはできない約束をする。

クーパーといっしょに旅立つのは、ブランド教授の娘のアメリア(アン・ハサウェイ)も含まれている。土星の近くに発見されたワームホールから超遠距離惑星間移動に入る。その映像に、最新の理論物理学が生かされているらしいけど、その真贋はわからない。誰もそんなものを見たことがないのだから、否定も肯定もできないだろう。TARSという人工知能のコンピューターが助手として同行する。このプロジェクトは先に飛び立った人間がおり、遥か彼方の宇宙から信号を送り続けているのだ。クーパーたちは、残りの燃料を計算しながら可能な目的地を探し出して着陸する。

彼らが求めているのは、本当に超遠距離惑星間移動で戻ることができるかという問題が解決することなのだ。それが可能になれば地球に残された人類が救われるのだ。それには実際にその移動をしてデーターを記録するのが必要になっている。5次元の世界というのが登場し、なぜか10歳の娘マーフがこだわっていた本棚の裏側にクーパーは到着する。言葉で伝えることができないので、本を落としてモールス信号で伝える。それは、娘を愛し続けた父親の執念だったのだろう。

やがて、マーフはブランド教授の弟子になり一流の理論物理学者になる。この連鎖はアメリアが教授の娘だったことと関係があるのだろう。文章で書くと味気なくなってしまうので、ぜひ映画館でこの映像体験をしてほしい。やっぱり映画史に残る傑作だと思った。

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