ジュラシック・ワールド

恐竜を琥珀の中に閉じ込められた蚊の血液から遺伝子操作で生み出した「ジュラシック・パーク」シリーズの第4弾だ。もう10年以上の間が開いてしまったけど、旧作の2番煎じではない迫力と新鮮さがあった。何よりも関心したのは伏線をしっかりと回収する映画の文法を守っていることだ。登場人物たちの言動がその後の物語の展開に影響するのが、手に取るようにわかるのは快感だ。それが最後の恐竜たちの対決に昇華するのだから、映像の迫力だけでない面白さがあった。

一番最初の作品ではそもそも6500万年前に滅亡した恐竜をよみがえらせること事態が、自然に反することだと考えられた。4作目になるともはや遺伝子解析が進み恐竜の再生は当たり前の技術になっていて、それに人為的操作を加えることが問題にされている。科学の進歩で映画の内容も変わってきたのだ。さらに色々な生物の特質を発現する遺伝子を特定して、恐竜に組み込むことができるようになった。これは、現実に植物で実用化されている。

ジュラシック・パークはすっかり頑丈に生まれ変わり、今やテーマパークみたいな利益を追求する遊び場になっている。責任者のクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、甥で16歳のザック(ニック・ロビンソン)と11歳のグレイ(タイ・シンプキンス)を招待する。でも仕事に忙しくて代理人に面倒を見させる。この代理人や子どもたちの夫婦が離婚間際というのも、重要なエピソードだ。さらに、アトラクションをグレードアップするために、運営者側は恐竜の遺伝子だけでなく、カエルなどの地球上に生息している生物の遺伝子も組み込んで全く新しい凶暴なインドミナス・レックスという新種を生み出していた。

1作目で人間たちを襲ったヴェロキラトプルを羽化したときから手懐けている動物行動学の専門家オーウェン(クリス・プラット)は、勝手に利益追求に走る運営者サイドを批判する。刷り込み効果で慣れているとはいえ、オーウェンも少しでも手を抜くとどうなるかわからない。それほど危険な存在の恐竜を見せ者にすることが、どのくらいの危険なことか忘れてしまったのだ。

各恐竜の特色を紹介するシーンがあるけど、それが後の物語の進行に大きく関係してくるので注意して見ていよう。歯の数が12本しかないやつと、24本あるやつのどちらが強いのかも興味深い現象だ。誰が助かって誰が犠牲になるかも、しっかりと伏線があるのでじっくり見てほしいと思う。こんな巨大な恐竜も地球全体を支配し続けることはできなかった。色々な見方ができる映画だった。エンターテイメントとして4点だ。

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この記事へのコメント
「ジェラシック」じゃなくて「ジュラシック」だす。
Posted by 佐藤秀 at 2015年08月10日 09:38
佐藤秀さん、思い込みで間違えておりました。
ご指摘ありがとうございます。
また、気がついたことがありましたらよろしくお願いします。
Posted by とらちゃんとらちゃん at 2015年08月10日 22:12
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    コメント(2)