スティーブ・ジョブズ

アップルのカリスマ創業者で絶大な人気だったスティーブ・ジョブズの新製品発表会の舞台裏に注目した会話劇だ。「スラムドック$ミリオネア」「127時間」のダニー・ボイル監督が映画化した。普通の伝記映画とは全然違い、主人公の業績は描かれていない。何をやったのかは常識として頭に入っているのが前提の映画で、彼のスパルタ経営者ぶりの裏にある苦悩を描いている。さらに実の娘との父としての葛藤が赤裸々にわかる。経営のカリスマも娘にはかなわないのだ。

2月14日に鑑賞したのだけど、膨大なセリフに圧倒されて考えがまとまらなかった。一体この映画は何を描いているのかわからなくなってしまった。1984年のMacintosh、1988年のNEXT cube、1998年のiMacの製品発表会の始まる直前の舞台裏を描いている。アップルが今のような巨大ブランドになる前の苦しい時代にジョブズ(マイケル・ファスペンダー)がどのように過ごしていたのかを、関係者との会話劇で明らかにしているのだ。

1984年のMacintoshの発表会では、「ハロー」と挨拶するはずのマシンが何も言わないので激昂している。秘書のジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)はジョブズに振り回されているし、元恋人のクリスアンが娘のリサを連れて来て認知するように迫ってくる。ジョブズは確率的に自分が父親ではない可能性が20%くらいあると屁理屈をまくし立て、娘を傷つけてしまう。

1988年NEXT cubeではアップルを追い出したジョン・スカリー(ジェフ・ダニエルズ)が現れて、退任劇の真相を語り出す。アップルに復帰して1998年のiMacでは、共同創業者のウォズニアック(セス・ローゲン)とも喧嘩になる。そして、19歳になったリサ(パーラ・ヘイニー・ジャーディン)が母親の医療費を出して欲しいと言ってくる。そこでも言い争いになる。リサは大きなカセットデッキで音楽を聞いているけど、ジョブズは「そんな大きな箱で音楽を聞かなくてもライターくらいの大きさで何千曲も入るようにしてやる。」とぶちあげる。

リサとの言い争いでは新製品発表の時間が遅れるくらいになってしまった。でも、リサに言った言葉はまさにiPodのことである。このようにジョブズは家族や周囲の人間との関係を犠牲にしてまで仕事に熱中して、革新的なテクノロジーを生み出して行ったのだとわかる。その後、音楽配信サービスやiPhone誕生につながっていくのだろう。 それにしても互換性をあまり重視していないのは伝統だったのか。星4個。

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