マネー・ショート 華麗なる大逆転

サブプライムローンの破綻(2007)に発した世界的金融危機リーマン・ショック(2008)の最中に、ウォール街の常識と逆のことをして金儲けをした人々を描いた映画だ。日本の株価も危機的に下落した。この映画の優れた点は難解な金融用語がわからなくても、ある程度理解できることだ。しっかりと有名人が登場して解説をしてくれる。そして、物事を知らないことを恥じるよりも知っているつもりになっていることを恥じるべきだと現代の我々に問題を問いかけている。無関心では済まない問題になっているのだ。

ウォール街のマネーゲームが、日本で暮らす投資もしていない普通の庶民にも影響を及ぼす状態になっていると警鐘を鳴らしている。中国が不景気になったら世界経済がおかしくなるし、もし北朝鮮がミサイルを発射したらと思う。サブプライムローンは本来住宅を買う能力がない人々にもローンを組ませて売りさばいて、その返済資金を債券にしたものだ。住宅ローンの返済が順調なら問題ないけど、実際には仕事がない人も利用していた。

それにいち早く気がついたのが、マイケル・バーリ(クリスチャン・ベイル)だ。Tシャツで靴もはかないでヘビメタをがんがん流している変わり者だ。トリプルAの格付けのはずなのに、詳細に調べるとゴミがたくさん隠れていたのだ。マイケルがマネージャーをしているファンドは、銀行にサブプライムローンが破綻した場合の保険商品(CDS)に投資する。空売り(ショート)を引き受けてもらい、毎月保証金を払う形になる。間違い電話でそれを知ったジェレッド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は知り合いのマーク・バウム(スティーブ・カレル)に知らせて、マイケルの動きに追従するように提案する。

マークは兄の自殺を防げなかったことでセラピーに通っている人間だ。いつもイライラしている。その他に、若い投資家のジェイミーとチャーリーも登場する。彼らは3000万ドルしか資金がないので、ベン・リカート(ブラッド・ピット)という伝説のトレーダーに助けてもらう。ジェイミー(フィン・ウィットロック)とチャーリー(ジョン・マガロ)は独自の調査でサブプライムローンの危うさを突き止めていた。マークたちは、実際に新興住宅地に調査に行きどんな住民が住んでいるか確認をする。すると、空き家が多かったり無職の家族が又貸しで住んでいた。

わては新聞等でアメリカの銀行がどんどん潰れて公的資金を導入したことを知っている。また、日本の銀行が奇跡的に直接の被害をあまり受けなかったことも知っている。でも、株価が暴落したことも知っている。今学生の就職率が回復して売り手市場になってきた。そこで語られいるのはリーマン・ショック以前の水準に戻っているということだ。また、格付け会社のいい加減さも注目する点だ。銀行や政府といい関係を作ってきたから、格付けを下げることはできないと担当者が説明する。

情報は常に操作されており、我々は知ることもできない弱い立場にいる。中国の景気が実際にどうなっているかなんて、日本にいてはわからない。もしかすると、中国人もわからないかもしれない。星4個。

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