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ジョディ・フォスター監督、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツ主演で描かれる株式相場をめぐるサスペンスだ。高視聴率を獲得している金融番組で紹介された株を買った男が生中継のスタジオに乱入して司会者を人質にウォール街に挑戦する。今や株式相場はコンピューターのソフトによる自動取引が使われており、素人が手出しして儲けるには難しいと言われている。なけなしの金を株に投資して大損した背景には何が隠れているのか、1時間半のノンストップで魅せてくれた。テンポのいい展開は爽快だった。

光ファイバーで情報がやり取りされて数秒で決済完了するのだ。なんとかショックが頻繁に起きるようになった株式相場は手の合図で取引している時代と比べると、動きが激しすぎる。それにしても、リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会している番組のオープニングは、まるでテレビショッピングみたいだった。株式を所有するのは企業の株主になるという意味合いがあるけど、そんなことは誰も考えていない。番組を見ている視聴者は、金儲けにしか関心がない。

親の残した遺産6万ドル(650万円)を全額株に投資するとは、博打と同じだろう。でも、カイル・バドウェル(ジャック・オコンネル)にとっては、時給14ドルの仕事をコツコツ続けるよりもましだったのだろう。身ごもっている彼女が警察に呼ばれて説得するように出てくるけど、「何を馬鹿なことをしたの。ろくでなし。」というのがまともな考えだ。ゲイツが紹介した会社の株が暴落してしまったので、怒りにまかせてスタジオに侵入して爆弾ベストを司会者に着せてピストルで脅して、番組をジャックする。

ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)が的確な指示を出して、カイルを落ち着かせて時間稼ぎをする。カイルが買った会社の株は時々暴落するものの、しっかりと右肩上がりのチャートを描いていた。誰も不審に思わないのだけど、業務内容が怪しい。株の高速取引システムの開発会社だからだ。時価総額で8億ドル(850億円)以上の下落だから、並大抵の下げではない。会社の価値が半分以下になる下落が、数日で起きるのは異常である。

それに対して、広報担当のダイアン・レスター(カトリーナ・バルフ)はソフトのバグだと説明する。でも、肝心の最高経営責任者が飛行機の中にいてどこかの空を飛んでいるというのだから、訳がわからない。警察は犯人の持っている起爆装置を作動させないために、人質のベストについている装置を狙撃する計画を進める。ところが、スタジオの外がウォール街だったことで犯人と司会者が外に飛び出してしまう。実にスリルに満ちた物語だった。リアルタイムで生中継を見ているようだった。情報量が多いので、見応えのある映画だった。星4個。

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この記事へのコメント
これは面白かったですね。大物を配置して、指揮を撮る監督のジョディ、もうすっかり監督です。
作品も外に出てからの展開がまた面白く、結末や、視聴者の熱からさめた光景も面白かった。
こちらからもTBお願いします。
Posted by atts1964 at 2016年06月17日 06:26
atts1964さん、これは面白かったです。

まるで生放送を見ているような臨場感がありました。

こちらこそ、TBをよろしくお願いします。
Posted by とらちゃんとらちゃん at 2016年06月17日 09:10
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