ハドソン川の奇跡

この事件をテレビの中継で見た記憶がある。2009年冬のNYのハドソン川に不時着した飛行機から、乗客が次々に救出されて全員無事に生還した。よかったなと気楽に思っていた。この映画のように機長が過失を問われて、調査委員会で尋問されていたとは知らなかった。航空事故原因調査会という組織が、あら捜しのように問い詰めていくのには驚いてしまう。

それに呼応してマスコミも機長を犯罪者扱いする。なんという日和見主義の人々なのかと驚くもんだ。2009年だとまだスマホは普及していないので、証拠になる動画が少ない。大都会のビルの真横を飛行機が飛んでいるのに、なぜマスコミは何も調べないのだろうか。運輸安全委員会もコンピューターのシュミレーションに頼り切っており、偏りを感じた。

サリー機長(トムハンクス)と副機長のジェフ(アーロン・エッカート)はラガーディア空港から飛び立って、850mの高度でバード・ストライクに遭う。両方のエンジンが同時に破壊されて、飛行機はどんどん高度を落としていく。鳥の群れの衝突して208秒しか、時間の猶予がない。歴史上初の事故で、全く前例がない。

映画では冒頭ですぐに川に不時着して、無事に乗員乗客全員155人が救出される。そこから、すぐに機長は近くの空港に行くことができたのに、しなかったとして追求される。当局はフライトシュミレーションのテストで同じ条件を作り出して、実際に近くの空港に着陸してみせる。これには、参ってしまった。

操縦席の録音された音声を実際に聞いて、彼らは機長の的確な判断を理解する。でも、それはサリー機長たちが必死で反論する方法を探したからにほかならない。全く反論できないような状況を作り出されたら、犯罪者扱いされてしまったかもしれない。1時間半の映画で全く無駄なシーンがない。濃密な映像体験だった。星5個。

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