LOGAN/ローガン

ウルヴァリンはナチスの人体実験で産まれたのだったかな。いくつもの戦争を生き延びて、2029年という設定でウルヴァリンが老いに苦しむ物語になっている。自分に関わったものは不幸になるという体験から、他人との交流を避けてきた。そのローガンがつかの間の家族の絆を味合う。それから、次の世代にミュータントの特性が受け継がれていく。最後を迎えるために作られた映画と言っていい。

今までの不死身の体となんでも切り裂く無敵ぶりはすっかり姿を消している。「シェーン」をテレビで見るシーンがあるように、オマージュとして使われている。一人去っていくシェーンは負傷しており、馬で去っていく先で死ぬという解釈がある。まるでその展開どおりになるお話である。「人を殺した人間に平穏は来ない」という言葉はシェーンのセリフだ。それがそのままこの映画にも登場する。

特にローガンは多くの人を殺してきた。そのローガンはメキシコ国境近くの街でリムジンの運転手をしている。町外れの家ではチャールズ・エグゼピア/プロフェッサーX(パトリック・スチュアート)の面倒を見て暮らしている。チャールズは年老いて自分の能力を制御できないので、タンクの中にいる。その面倒を太陽光線が苦手なキャリバン(スティーヴン・マーチャント)が見ている。そんなローガンにローラという少女の面倒を見てくれとカブリエラという看護師から依頼される。

最初は断っていたローガンだが、追手のピアーズ(ボイド・ホルブルック)に殺されたしまったのでローラ(ダフネ・キーン)を連れてくる。ローラを演じるダフネ・キーンの存在感がすばらしい。しゃべれないと思わせても、何をしたいのか何を感じているかわかる。人を殺すことに何の躊躇もない。ローガンは社会性を身に着けているけど、ローラは野生児みたいだ。ローラ、ローガン、チャールズの3人でカナダ国境に近いノースダコタを目指す。

三人のロードムービーになっているけど、だんだん人数が減っていく。ローガンはその過程で家族の絆を感じる。最後に平穏が訪れたけど、死の間際だった。ローラはローガンに色々教わって一人前になっていく。しかも、「平穏は来ない」という意味合いをしっかりと理解して子供たちだけで旅に出る。この最後の終わり方はこみ上げるものがあった。ダフネ・キーンの将来性も期待したい。星4個。

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