デトロイト

NHKBS(ブログでも書いた)でも放送されていたデトロイト暴動のアルジェ・モーテルで起きた黒人射殺事件を、キャスリン・ビグロー監督が映画化した作品だ。1967年に起きた事件で現在も生存している当事者に詳細な取材を行って、ドキュメンタリーのような内容の物語になっている。当時の映像も時々入るので、より真実味がある。白人警官を演じた役者が演技を拒否するくらいの演出で、鬼気迫るものがある。現在も同じような事件が起きている。闇は深いのだ。


1967年7月にデトロイトで暴動が起きる前、クラウス(ウィル・ポールター)、デメンズ(ジャック・レイナー)、フリン(ベン・オトゥール)の3名の警官はパトカーで見回りをしている。店から物を盗んで持ち去る黒人がいたので、クラウスは止まれと叫んで後ろから銃で撃つ。追いかけていき何発なぶち込んだ。翌日、クラウスは上司に呼ばれて問い詰められるが、相手が逃げようとしたと言い訳をする。クラウスは後ろからでも犯人を撃つやつだった。

デトロイトで暴動が発生したときには、黒人は集団で抗議運動を繰り広げる。それを警官たちは車に乗せて逮捕していく。黒人は逆らうことも許されない状況だ。州兵まで投入されて、外出が著しく制限される。人気バンド「ザ・ドラマティックス」はステージに立つ予定だったけど、直前に帰宅命令が出て公演が中止される。バンドのメンバーはバスで帰ろうとするけど、暴動に巻き込まれて徒歩になる。そして、アルジェ・モーテルにたどり着いた。

夜なので、州兵たちや警官は厳戒態勢だ。ところが、モーテルの中は若者たちが浮かれてお祭り騒ぎをしている。一人がおもちゃのピストルで発泡した。州兵はモーテルから狙撃があったと勘違いして、モーテルを取り囲む。警官がなだれ込んで誰が発泡したのか追求する。ライフルがあるかもしれないと警戒して各部屋を点検するけど、おもちゃだから何もない。

そこで、クラウスたちは動きがあった部屋に乗り込んで犯人探しを始めてしまう。火薬だけのおもちゃのピストルを撃ったと白状すればいいのにと思うけど、クラウスたちは絶対にこの中に狙撃犯がいると思いこんでいる。そして、むやみに射殺しないとように脅されたふりをするように言う。黒人を一人づつ呼んで痛めつけるふりをして、他のメンバーが脅すのだ。それを本当に殺しているようにやるかたたまらない。

守衛のディスミュークス(ジョン・ボイエガ)は発泡があってから駆けつけた第三者の立場なのに、黒人と警官の仲裁には入れない。彼も黒人なので、信用されない。警官たちは白人の女性にも尋問して、狂気の沙汰である。州兵の中にはこんなひどい扱いには仲間になりたくないと出ていくものもいる。それでも、尋問を続けるクラウスたちは完全に狂っていると思う。警察の尋問で正直に話した警官も裁判では否認して、結局無罪になってしまう。いまだに同じような事件が起きているのだから、闇は深い。星5個。

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