若おかみは小学生!

令丈ヒロ子の同名の児童文学シリーズを劇場アニメ化した作品だ。なんか評判になっているので見に行ってきた。朝1回しか上映がないけどなかなかの良作であった。もっと涙で出ると思ったけど、意外なことにそれほどではなかった。わてがさめているのか、他のお客さんが情緒豊かなのか知らない。高速道路を走っていたら誰でも遭遇する可能性がある事故で、両親を亡くした小学生の女の子の物語だ。小学生の女の子は大人になるのが早い。ついこの間まで子供だと思っていたら、いつの間にか大人びた感じになっている。

この映画は、そんな変化を劇的に描いている。関織子(おっこ)に起きるのは究極の出来事だろう。楽しくおばあちゃんの家に向かっていた高速道路で反対車線からトラックが飛び出してきて両親が亡くなる。たった一人生き残ったおっこは、一人で世間に放り出される。幸いにも祖母が花の湯温泉で旅館をやっていたので、そこに向かう。

マンションの部屋から荷物を持って行ってきますと言うけど、もう戻ることはない。電車に一人で乗って旅行に行くみたいだけど、祖母といっしょに暮らすために旅立っていくのだ。このシーンは切ない。花の屋旅館は小さな旅館だけど、風情がある。おばあちゃんのしっかりしている。おっこは戸惑い気味で、部屋にいる幽霊のウリ坊、美陽(みよ)、鈴鬼(すずき)と仲良くなる。幽霊やおばけが見えているのはどうもおっこだけらしい。初めて挨拶するときに、ウリ坊のささやきに引っかかり若おかみになれるようにしますと言ってしまう。

花の湯温泉のモットーは、「訪れた人はどんな人でも歓迎して喜んで帰ってもらう」という接客の精神だ。これが最後の最後まで鍵になる。鈴鬼がいると変わったお客を引きつけるという。最初にやってきたのは好き嫌いの激しい男の子と父親だ。母を亡くしたばかりで、落ち込んでいるようだ。次にやってきたのは占い師でスランプに陥っているグローリー・水領だ。スランプになったのは男に振られたからだという。

なんとかその二組のお客を喜んで帰ってもらうことに成功した。でも、次にやってきた家族は交通事故で父親が最近まで入院していたという方々だった。それは何でもないことのはずだったけど、おっこにとっては今までの人生で一番やっかいな存在である。この映画では誰も悪意を持っていない。おっこがこのお客をしっかりと接客することができれば、もう立派な女将さんである。そこまでの過程を爽やかな映像で見せてしまうのだから、すごいもんだと思った。星4個。今年度のアニメ部門ベスト3に入る。

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