来る

津村伊智の「ぼぎわんが、来る」という小説を中島哲也が映画化したホラーだ。この映画では怖い存在は人間であって、お化けや怪物は登場しない。人間関係の中で起きる自分勝手な行動や裏切り、嫉妬、無視、放置などということの結果、それに影響された歪みが表に出るのが怖いのだ。なんとも思わない人には恐怖は出現しないけど、感受性の強い人にだけ見える代物だと思う。でも、最後の方では日本最強の霊媒師が対決しないといけないほどの力を持ってしまう。その強大化はかなり無理があると思う。

ホラー映画をこのように解説できてしまうのは、実はあまり怖くないことになる。怖いものの正体がわからない場合や防ぎようがない場合は、いいのだ。ホラー映画としても満足ができるのだ。でも、鑑賞した当日にこんな文章を書けるのがいただけない。嫁を故郷に連れていくけど、祖母が亡くなるのはもう寿命だと思う。天寿を全うしていくのだから、安らかな最後になるはずだ。それを子供のときに留守番をしていた時の心細さが怖いのだ。

田原秀樹(妻夫木聡)は香奈(黒木華)と結婚して、一人娘を授かる。秀樹はイクメンブログを更新することに熱中して、人気になる。実際に育児をしているのかと思ったら、全然違うのだ。仕事とブログ更新だけをして、育児を全然手伝わないのだ。これは嘘つきだわ。しかも香奈が娘のおむつを変えようとしているのを全く手伝わないで、ブログを書いている。これは呪われても文句を言えません。

秀樹の同級生である民俗学者の津田(青木崇高)から紹介されたオカルトライターの野崎(岡田准一)が、キャバ嬢で霊媒師の比嘉真琴(小松菜奈)を連れてくる。真琴は田原家の異常に気がついて家庭に入り込もうとするが、秀樹の暴走を止めることができない。ということは、異常事態の出現も防ぐことができない。

最初は香菜が可愛そうに思うのだけど、実は違うのだ。大人の勝手な欲望の影で悲惨な状態になったのは、香菜の娘の方だった。ここらへんからわけがわからなくなる。真琴の姉の琴子(松たか子)が真打ちとして出てくる。警察をも自由に使い、謎の驚異から国を守るために動き出す。なんでその状態が国家的な危機なのかわからないけど、大々的なお祓いの儀式が始まる。笑ってしまうのだ。映像の工夫はすごいと思うけど、ラストの三人がいるシーンは意味不明だ。星2個。

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