1917 命をかけた伝令

サム・メンデス監督が監督・製作・脚本を担当して、第一次世界大戦のヨーロッパ戦線の伝令役を担った兵士の活躍を描いた作品。監督が祖父から聞いた話を自分で脚本化した。ほぼ経験談から描かれた実話に近いのだと思う。特に塹壕と砲撃跡の大きな穴などは、実際にあった状況だ。ワンカットでの撮影は、観客をその場にいるような錯覚を呼び起こす。これは、戦場臨場体験映画だと言える。主人公が塹壕から飛び出して平地を走り、砲撃の中を進むシーンが迫力満点だった。

1914年に始まった第一次世界大戦は、1917年にはドイツの劣勢になる。ドイツは退却するフリをして、敵をおびき寄せて大打撃を与える作戦を考える。電話線を切られたイギリス軍は、前線の部隊と後方の司令部が連絡できない。前線の部隊は退却するドイツ軍を追いかけて、突撃しようとしていた。航空機での偵察でそれが罠だと知った司令部は、二人の若者を指名して伝令をさせる。

一人は前線に兄がいるトム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)と、無理やり誘われたウィリアム・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)の二人だ。てっきり弟が兄に出会えるのかと思ったけど、そうではなかった。廃屋に仕掛けられた爆弾で生き埋めになったウィリアムがトムに助けられる。そして、トムは途中退場してしまう。

ウィリアムはトムの指輪を外して、遺品として持っていく。砲弾が降り注ぐ中を走る。ぬかるみの地面に足を取られながら、水に浮かぶ死体の上によじ登る。途中で助けられた女性と赤ん坊に持っていた食料を全部あげて、後ろ髪引かれる思いで出ていく。もう決死の旅立ちだ。川を下ると味方がいる森に行けるという女性の言葉を信じて突き進む。

せっかく味方に合流しても、肝心の司令官に出会えない。そして、出会っても簡単に信じてもらえない。最後の草原が一面に広がるシーンは、冒頭の草原と似ている。平和が本当にありがたいと感じた。アカデミー賞の撮影賞・視覚効果賞・音響賞を獲得した以上の価値がある。是非、映画館で見て欲しい。

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