ジュディ 虹の彼方に

「オズの魔法使い」で知られているジュディ・ガーランドの伝記映画だ。主演は「ブリジッド・ジョーンズの日記」や「シカゴ」のレネー・ゼルウィガーだ。アカデミー賞など各国の主演女優賞を総なめにした。これは素晴らしい内容だった。子供の親権や家族関係、そして自分のパフォーマンスができなくなる苦悩は察して余りある。うつ病の自分からしたら、やってはいけないことを続けているのだから自滅に向かっていくみたいだ。それでも、最後まで歌手としての誇りを捨てなかったのだからすごい。終盤は涙なしでは見られない。

子供の頃から常用しているのが、アンフェタミン(覚醒剤)でやせるために飲んでいる。その上、お酒が大好きとはもっともやってはいけない組み合わせである。しかも、自殺未遂を何回もしているのだから非常に危険である。精神安定剤みたいなものも飲んでいたと思われるので、酒を飲むのはやばい。社長から、「オズの魔法使い」でデビューするときに普通の少女に戻りたいなら撮影所から出ていっていいと言われる。その代わりに誰にも注目をあびない普通の人生を送ることになるよ、君には歌の才能がある。こんなことを言われたら、やるしかないだろう。

結婚は5回もしている。2番目のときにライザ・ミネリが生まれた。3番目の夫シド・ラフト(ルーファス・シーウェル)との間には子供二人がいる。それは可愛いので自分で育てたいと思う。ところが、ホテル代が払えなくなり親権は夫に移る。ジュディは子供を取り戻そうと、ロンドンで公演を行う。でも精神的不安定は治らず、舞台から降板することになる。

寄ってくる男性はジュディの才能をなんとか売り込んでお金にしたいという者が多い。とくに、ミッキー(フィン・ウィットロック)の提案する話は胡散臭い。この判断ができないのも無理はない。自分で自分を追い詰めていることに気が付かないのだ。

救いは同性愛の男性に親切にされたり、「虹の彼方に」を歌えなくなって観衆が合唱するシーンだ。これは涙が止まらない。レネー・ゼルウィガーの渾身の演技である。映画の中で歌われる楽曲が全部彼女の心中を反映させているので、この組み合わせも見事である。47歳で不遇の死を迎えるのだけど、人生の密度は常人のそれではない。天賦の才の持ち主だから、こうなったのか。是非映画館で見て欲しいけど、時節柄難しいか。星5個。

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