とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver

2020年度アカデミー賞作品賞・主演女優賞・監督賞を受賞した。ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション小説を、クロエ・ジャオ監督が映画化した作品だ。リーマンショック後に自宅に居られたなくなって、全米各地をキャンピングカーで放浪するノマド（遊牧民）を描いている。不況で工場が閉鎖されると街そのものがなくなるケースがある。身寄りのない場合は、全米各地の働き場所を求めて放浪する。まるで、西部開拓時代のカウボーイみたいな生き方だと思った。孤独ではあるけど、自分のことに誇りを持った崇高さが感じられた。

ネバダ州の企業城下町に暮らしていたファーン（フランシス・マクドーマンド）は工場閉鎖に伴って、住まいを失う。町そのものが消失して郵便番号もなくなる。　亡き夫との思い出が詰まったキャンピングカーに生活道具を詰め込んで、放浪の旅に出る。アマゾンの集配センターで仕事を見つける。リンダという女性と知り合い、車上生活者の集まりの集会に誘われる。

半信半疑ながらアリゾナの砂漠に行ってみると、キャンピングカーがずらりと並んでいた。そして、ノマドたちがお互いに助け合い交流している中に入る。ホームレスなんだけど、彼らには悲壮感がない。でも、やっぱり寂しいもんだ。元気なうちはいいけど、健康面の不安が一番ある。大自然の中の一本道を車が走っている。これが西部劇みたいなんだ。砂漠の向こう側に山脈がそびえている。

ファーンに起きる事件はパンク、車の故障だ。車が故障したときには遠くに住む妹にお金を借りに行く。絶対に返すというが無理じゃないか。妹とのわだかまりも描かれている。そして、元ノマドの男性の家に招待された時には、プロポーズされる。でも、ファーンは自由気ままな生活を選ぶ。

この決断はわかる気がする。誰にも干渉されないで、大自然の中で自分の力で暮らしていく。それは生きている実感が満ち溢れている。里に落ち着いては得られないものがあるのだ。崇高さが感じられた。実際のノマドも出演しているそうで、リアルなロケーションはまさに昔の西部劇だ。

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