モールス  LET ME IN

とらちゃん

2011年08月10日 15:59

スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」を、「クローバーフィールド/HAKAISHA」のマット・リーヴス監督がハリウッドで完全リメイクした。これは万人向けの映画ではなく、かなりの映画マニアの方にしかお勧めできない。暑い夏をエアコンの効いた映画館で、怖くてもいいから涼しくなりたい方には最適の映画だろう。孤独な12歳の少年と隣に引っ越してきた同年代の少女の恋の物語は、ヴァンパイアという残酷な運命に翻弄されてなんとも言えない結末を迎える。ほんとうに切なくて、恐ろしいのだ。

アメリカ、ニューメキシコ州のロス・アラモスという田舎町での出来事だ。1983年という年代まで指定されている。小学校が一つしかない町なので、誰一人知らない人はいないはずだった。12歳のオーウェン(コディ・スミット=マクフィー)は、母と二人暮らしだ。父とは離婚調停中で、寂しい思いをしていた。学校ではケニー(ディラン・ケニン)といういじめっ子に目をつけられて、付回されていた。アパートの中庭にあるジャングルジムで一人遊ぶのが、日課だった。ある日の夜、隣の部屋に同じくらいの年齢の少女と父親が引っ越してくる。

夜中庭で遊んでいると、少女が出てきてアビー(クロエ・グレース=モレッツ)という名前を知る。徐々に話をするようになって、学校でいじめられていることを話す。するとアビーは、「本気でやり返しなさい」と強気なアドバイスをする。それに勇気を得たオーウェンは、課外活動で強くなろうと決意する。でも、ケニーたちは3人でいっしょにいて、反抗するには覚悟が必要だった。
隣に親子が引っ越してきたのと同じくして、町で原因不明の殺人事件が連続で発生する。それはアビーの父親の仕業だった。アビーの父親は、死体をロープでつるして体内の血液をボトルにためて部屋に持ち帰っていた。アビーが生きていくために人間の血液が必要だったのだ。警官(イライアス・コティーズ)は、全く事件の手がかりがつかめないで困っていた。

でも、隣に住むオーウェンは聞こえてくる物音や言い争う声などから、アビーたちが普通の人間ではないと思い始める。また、オーウェンはアビーと親しくなり壁越しにモールス信号でやり取りをするようになる。ケニーを棒で殴って怪我をさせてしまい、いじめがなくなるがケニーの兄が関係するようになる。

ケニーたちの仕返しが起こるのと、アビーの正体が判明するエピソードが平行して描かれる。その二つがぶるかると、相当のショックと物悲しい気分になる出来事が起きる。ヨーロッパでもアメリカでも、そういう生活をしている人々がいるかもしれない。かなり、怖い。
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