1911
ジャッキー・チェン総監督・主演で製作された辛亥革命100周年記念映画だ。中国・台湾両国から革命の父と呼ばれている孫文と軍事部門を担当した黄興をに焦点を当てた、辛亥革命を描いた歴史ドラマになっている。日本でいえば明治維新と同じ内容の話である。孫文の理想「打倒清朝、回復中華、樹立民国、地権平等」から共和制を目指した戦いに命をささげた人々の姿が胸を打つ。私利私欲のない孫文の言葉に嘘はなく、若者たちがついていく理由がはっきりと描かれている。革命から100年経過しても大陸中国では理想が現実になっていないと考えるのは、深読みしすぎだろうか。日本との関係を描かないでアメリカやヨーロッパだけとの関係しか登場しないのは、中国国内への配慮だと思う。
映画は、中国の女性革命家秋瑾(しゅうきん:ニン・チン)の処刑から始まる。1907年7月のことである。彼女の処刑は中国全土に反響を呼び、若者たちは清朝打倒に関心を持つようになる。秋瑾も孫文(ウィンストン・チャオ)も黄興(こうこう:ジャッキー・チェン)も日本に留学していたが、映画では触れられていない。孫文が黄興と知り合ったのは日本だと思うけど、それもはっきりと描かれていない。孫文が革命の原則をかかげて、黄興がそれに加わった。中国同盟会という結社を設立する。それが、1911年3月の広州総督府襲撃につながる。
その頃の清王朝は隆裕皇太后(ジョアン・チェン)が実権を握り、最後の皇帝溥儀は子共であった。孫文は清王朝から指名手配されていたので、中国国内に滞在することができない。そこで、日本からアメリカやイギリスに渡って革命のための資金集めに奔走する。中国国内では、黄興らが中心になって清王朝との戦いを繰り広げていく。徐宗漢(リー・ビンビン)は従軍看護師として前線に立ち、負傷した兵士の世話をする。黄興と徐宗漢は、のちに夫婦になる。1911年3月の総督府襲撃は失敗に終わる。黄花崗七十二烈士と呼ばれる若者達が、処刑されてしまう。
孫文はサンフランシスコで華僑を集めて演説して、資金を集める。また、ヨーロッパに渡って銀行家を前にして中国の現状を訴えて、清朝への資金援助をしないように説得する。1840年にアヘン戦争を起こしたイギリスに乗り込んで、銀行家を説得するのは並大抵のことではない。イギリスにある領事館で尋問を受けるが、逆に説得してしまう。
1911年10月10日には、湖北省武昌区で起義が起こる。黄興は長江をさかのぼって、武漢で革命軍に合流する。それに対して、清朝側は袁世凱(スン・チュン)が将軍になって革命軍と戦う。でも、袁世凱は清朝の言いなりにならないで資金を清朝から出してもらい戦うという姿勢だった。1912年には中華民国臨時政府が成立して、孫文が臨時大総統に就任する。その結果宣統帝は退位することになり、皇太后も権力の座から降りる。
ここまでの過程で見ると革命は成功したと思ってしまう。孫文が辞任すると袁世凱が第2代臨時大総統になる。ところが、1913年には袁世凱が亡くなってしまい、1914年には第1次世界大戦が勃発する。中国は再び混乱に陥ってしまう。孫文がかかげた理想は若者を勇気付けるものであったし、建国の父と呼ばれるのも理解できる。ジャッキー・チェンは、中国を愛しているのだろう。孫文の考えが中国で実現するのを願っているのだと思う。
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