マスカレード・ホテル

東野圭吾原作の同名小説の映画化だ。木村拓哉と長澤まさみ主演で、一流ホテルを舞台に連続殺人事件を解決するために奮闘する物語だ。キムタク扮する新田刑事がホテルのフロント係になり、長澤まさみがその教育係になって怪しげなお客の中から犯人を探す。ホテルを舞台に登場人物が多い作品はグランドホテル形式といい、「グランド・ブタペスト・ホテル」や「THE有頂天ホテル」などを思いつく。多くの登場人物がバラバラに出てきて一見無関係に見えて、実は微妙に絡み合った繋がりがあるというのが醍醐味だ。でも、この映画では醍醐味は主人公二人がそのホテルでディナーを共にするというところに落ち着く。これはこれでありだと思った。

東京都内で連続殺人事件が発生していた。現場に残された暗号から次の犯行がホテル・コルテシア東京で起きるとわかる。そこで、警察はホテルに潜入捜査を試みる。ドアマンやフロントや宴会係などに扮した刑事がホテル内に設置された捜査本部の指揮で警戒に当たるのだ。一番の目立つフロントには英語が堪能な新田(木村拓哉)が配置される。新田の指導係にはベテランの山岸尚美(長澤まさみ)が当たる。

最初は喧嘩ばかりしていた二人だけど、ホテルマンの誠実なお客様への対応を新田が徐々に身につけていく。部屋を変えろと因縁とつける客(濱田岳)、チェックアウトの時間がかかり過ぎると難癖をつける客(笹野高史)、ストーカーに追われているという女性(菜々緒)は浮気をしている夫(高嶋政宏)の現場を押さえるためにやってきた。新田が中学生の時の教育実習生だった客(生瀬勝久)は先生になれなかった恨みを晴らそうと無理な注文をする。コールガール(橋本マナミ)と逢引しようとする有名人(田口浩正)がいたり、結婚式をあげる花嫁(前田敦子)が来たりする。

上記で紹介した人物の中で問題がないのは花嫁だけで、他の客はわがままのやりたい放題だ。それでも、ルールはお客様が作るという大前提のもとにサービスを提供する。一番感動したのは盲目の夫のために盲目のふりをして来た老婆がいた。たぶん観客も騙されるだろうけど、なぜかサイコパスみたいな恐怖はあまりなかった。まさかあの女優が老婆を演じていたとはびっくりしたけど、主役が殺されては映画が成り立たない。

それでもスリル満点でハラハラドキドキした。あの老婆が部屋をいくつもキープしておくとは用意周到な執念を感じる。本当に殺したいならおしゃべりはしないでさっさとやるのではないか。やっかいなお客を「いってらっしゃいませ」と見送るのだから、すばらしいと思う。まさか、新田と山岸がホテルのレストランで二人だけでディナーをするとは思わなかった。すべての登場人物は、二人の恋を成就させる要素になっていたのだろう。見たあとに幸せな気分になれる映画だった。

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友情出演の明石家さんまを探すのも一つの楽しみ方です。最後の方らしい。


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