嘘を愛する女

とらちゃん

2018年01月25日 22:26

TSUTAYAの映画原作コンクールで選ばれたものをもとに、CMディレクターの中江和仁が監督した作品だ。長澤まさみと高橋一生共演で、送るラブストーリーだ。同棲5年目を迎えた男女、キャリアウーマンと研究医のカップルである。突然脳梗塞で倒れた男性が偽名で素性もわからないことがわかり、本当の正体を解明する物語になっている。その隠された過去はあまりにも悲しくて、びっくりした。それからの展開はなかなか泣かせるものだった。

映画の見せ方が倒れた男性を正体不明の謎の人物で、何か悪事を働いたような印象を与えている。それでこちらはミスリードされてしまい、ミステリーみたいな雰囲気で映画を見ていた。実際に、川原由加利(長澤まさみ)が海原匠(吉田鋼太郎)を巻き込んで瀬戸内の島を探し回る展開は犯人探しみたいだった。木村(DAIGO)は誰が演じているかわからないくらいだった。

小出桔平(高橋一生)の書いた小説は過去の物語を書いたものではなく、未来の希望を書いたものだったのだ。そんなことはエンディングまでわからないので、脚本家の術中にハマってしまったということだ。うまいといえばうまいのだけど、もっとストレートに物語を展開してもよかったのではないか。
小出という名前は出会った時の彼の正面に見えたビルの名前だ。どうやって免許証を偽装したのかわからないけど、彼女に出会うまでどうやって生活していたのだろうか。育児ノイローゼの問題とか、脳梗塞の後遺症の問題とか、焦点の当て方を変えると面白くないのかもしれない。

小説の描写がなかなか美しいので、それをもう少し映像化してもよかったかもしれない。小説のモデルに川栄李奈を使うのも、一つの手段として面白い。

でも、この映画のようにひねりを加えて物語が展開すると、なかなか面白くなるもんだ。それと「嘘を愛する女」というタイトルはなんか違うと思う。星3個。

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