湯を沸かすほどの熱い愛
地方では2016年から2017年をまたぐ形での公開になった。中野量太オリジナル脚本・監督での初のメジャー映画デビュー作だ。宮沢りえを主演に迎えてすばらしい演技を見せており、子役たちの頑張りもいい。オダギリジョーのいい加減な所もうまいと思う。余命2ヶ月と宣告された肝っ玉母さんが命をかけて残される家族をしっかりとさせる様子が頼もしいし、死にたくないと訴える弱さも切実さが伝わる。3人に一人がガンで亡くなる時代に必見の映画なのかもしれない。
自分は父をガンで亡くした。だからこの映画が身にしみて理解できた。血がつながっている親子でもこの映画のようにつながっていない親子でも、病気で亡くすのはつらいもんだ。親が先に行く場合には子供のことを心配して最後を迎えるものだ。わての場合、うつ病で親よりも先にあの世に行きそうになるという不幸ものだった。幸いにも未遂で終わったけど、えらく心配をかけてしまった。
この映画では、宮沢りえ演じる双葉も母に捨てられた過去をもっている。観客はそれを物語の終盤で知るけど、双葉の肝っ玉母さんぶりが半端でないことの裏付けになっている。銭湯を経営していたけど、父一浩(オダギリジョー)が蒸発して休業している。パートで生計を立てていると、突然末期のガンだと判明する。しかも、余命は2ヶ月だ。手術も抗がん剤も放射線も効果がないという。そうなってはジタバタしても仕方がないので、双葉は残された時間でやることをリストアップする。
まず、高校生の娘の安澄(杉咲花)が学校でいじめられているのを克服させる。かなりの強引な方法を強制するけど、しっかりとフォローしている。探偵を使って蒸発した夫を探し出し、銭湯に連れて帰る。相手の女性が残していった鮎子(伊東蒼)も連れて来る。娘が二人になる。その二人とも双葉が実の母でないので、本当のことを話す。伊豆にタカアシガニを食べに行こうと誘い、安澄の母に合わせる。いままで本当の母だと思っていたのに、それが違っていたらショックである。
双葉の大きな愛を知った娘や夫は、なんとか双葉に恩返しをしたいと考える。伊豆への旅の途中で拾ったヒッチハイカー(松坂桃李)も、北海道まで行ってから銭湯にやってくる。双葉がベッドの上でほとんど動けなくなって、安澄が涙を堪えるシーンがすばらしかった。夜中に病院の庭で人間ピラミッドをするシーンもいい。最後のお葬式のシーンは悲しくなるのを、楽しい演出にしていた。必見の映画だろう。星5個。
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