レーシング ストライプス
2005年3月15日 15時43分
シマウマが自分のことを馬だと思い込んで、競馬に出走するまでを描いた映画だというので、てっきりアニメーションの映画だと思っていたら、「デイヴ」のようの実写の動物映画だったので驚いた。しかも、臆病なために家畜化不可能と言われているシマウマを使って、ここまでやるとは動物トレーナーの技術も上がったものだ。ポニーやヤギ、イヌやニワトリやペリカン、はたまたアブまで登場するのだから役者は揃っている。これは家族揃って見に行くには最適の映画だし、大人が深読みすることもできる差別という問題も扱っていてなかなかの佳作と言える。わてが見たのは、字幕版だ。
大雨の中を移動中のサーカスのトラックの一団、一台のトラックのタイヤがパンクする。荷物を降ろして修理をして出発するが、シマウマの赤ちゃんを入れたバスケットが置き忘れわれてしまう。そこへ、ケンタッキー州のある農場主ノーラン・ウォルシュ(ブルース・グリーンウッド)がトラックで通りかかりそれを拾って持ち帰る。娘のチャニング(ヘンデン・パネッティーア)は一目見て気に入り、父に飼うように頼む。チャニングは、そのシマウマをストライプスと名づけた。チャニングの母はジョッキーだったが、落馬事故で亡くなりそれ以来父は競馬との関わりを絶っていた。
それから三年後、ストライプスは自分のことを縞模様のある変わった馬だと思っていて、ポニーのタッカー(ダスティン・ホフマン)と同じだと疑わなかった。農場の丘の上に行くと、競走馬が訓練されている競馬場が見えるので、自分もいつかそこで走りたいと願っていた。でも、サラブレッドたちはストライプスのことを変なやつだと馬鹿にして、自分たちこそ選ばれた存在だといじわるをする。
ストライプスは郵便自動車と競争したり、自主トレを懸命にやっていた。そんな姿を見て、農場の仲間ヤギのフラウニー(ウーピー・ゴールドバーグ)やタッカーは励ましていた。また、牝の競走馬で心優しいサンディ(マンディ・ムーア)もストライプスの味方だった。サラブレットたちは、思い上がったストライプスにほんとうのことをわからせようと、真夜中に行われるムーンライトレースに誘う。そのレースに出場したストライプスは、Uターンすることができずに転倒してしまう。
そこで、農場の仲間たちはしっかりと調教師による訓練を受けさせようと、チャニングの通勤に使っているバイクを壊して、ストライプスを通勤に使ってもらおうと計画する。その作戦はまんまと成功し、娘のチャニングはストライプスに乗ってアルバイト先の競馬場にやってくる。途中でストライプスの足の速さを知ったチャニングは、非常に驚く。競馬場の常連ウッジー(M・エメット・ウォルシュ)は、タイムを計りたいと申し出る。そこで、実際に走ってみると予想以上のタイムが出て周りはびっくりする。
競馬場の理事長クララ(ウェンディ・マリック)は、自分の馬の引き立て役にもなるし、話題性も呼ぶし、ノーランに恥をかかすことができるのでストライプスの出走を許可する。ここから、娘は父を説得して本格的な調教が始まる。この物語は、ノーランの妻の死というトラウマからの脱出の物語であり、娘の成長の物語でもある。また、たとえ姿かたちは違っていても希望を捨てない限り願いはかなうという感動も用意されている。サラブレット以外は走ってはいけないというのは、人間の作ったルールだがそれも無意味なようにも思える。人種や収入の違い、宗教の違いなど超えられない壁は色々あるが、それも人間の作った考え方なのかもしれない。この映画を見ると、そんなことまで考えることができる。
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