レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語

とらちゃん

2018年10月24日 13:48

2005年5月6日 22時28分
5月3日に公開されて、6日にさっそく見に行ってきた。40言語に翻訳されて3000万部の出版部数を誇る、レモニー・スニケットの「世にも不幸せな物語」の映画化だ。主演にカメレオン俳優と言われているジム・キャリーを向かえて、三人の芸達者な子役がすばらしい演技を見せてくれる。お金もたっぷり掛けて、ブラックユーモア満載の不幸な出来事を次々と子供たちを襲う物語だ。悲惨な悲しい物語と思いきや、見終わった後に生きる元気をもらえる不思議な映画だ。全く、けなげな子供たちの奮闘振りを楽しんで見ていると、うつ病のわてでも映画館から出るときには、足取りが軽くなっていた。

時代や国は不明だが、わての想像ではイギリスの第2次世界大戦前後の設定のような気がする。裕福なボードレール家は、街中に大きな屋敷をかまえるほどの金持ちだった。三人の子供たちは、何不自由なく育っていた。14歳の長女のヴァイオレット(エミリー・ブラウニング)は、ガラクタから色々なものを発明する天才だった。発明品を考案している時は、髪の毛をリボンで結ぶ癖があった。2歳くらい年下の長男クラウス(リーアム・エイケン)は、自宅に揃っている莫大な蔵書をすべて読破して全部の内容を暗記していた。やっと歩けるようになったばかりの次女サニー(双子カラとシェルビー・ホフマン)は、何にでも噛み付いて自分の体重を支えることも簡単にできた。

ところが、そんな三姉弟妹に突然不幸が訪れる。自宅が火事で全焼し、両親が亡くなってしまったのだ。そこで、銀行家のミスター・ポー(ティモシー・スポール)がやってきて、遠い親戚の俳優をしているオラフ伯爵(ジム・キャリー)が身元引受人になる。最初大歓迎してくれたオラフ伯爵は、子供たちを粗末な部屋に押し込めて次々に無理難題を言いつけてこき使う。そして、オラフ伯爵が自分たちの相続した遺産を狙っていることに気が付く。ここから、非情な戦いが始まる。自分たちを乗せた車を踏み切りの真ん中に置き去りにしたり、爬虫類研究家のモンティおじさん(ビリー・コネリー)に預けられた時には助手に化けてオラフ伯爵がやってきたりする。

ジョセフィーンおばさん(メリル・ストリープ)は、吸血ヒルの生息する湖の断崖に今にも崩れ落ちそうな家を構えている。そこに預けられた子供たちを狙って、オラフ伯爵はシャム船長という船乗りに化けてやってくる。全く、懲りていない伯爵の悪ぶりにも感心する。最後には、自分の劇団の上演芝居中にサリーを人質に取って、ヴァイオレットと結婚式を挙げようとする悪あがきまでする。恥も外聞もないとは、こういう男のことを言うのだろう。それをジム・キャリーが演じると、不自然にならないから頭をひねるしかない。恐るべし、怪演ジム・キャリー。子役もうまい。特に、長女役のエミリー・ブラウニングがいい。また、エンディングクレジットも楽しい。

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