聨合艦隊司令長官山本五十六ー太平洋戦争70年目の真実

とらちゃん

2018年11月07日 05:59

2012年7月20日 23時25分
半藤一利監修、成島出監督、役所広司主演で製作された山本五十六を描いた映画だ。1941年12月8日に始まった太平洋戦争が70年目に公開される記念碑的な意味合いが作り手の想いにこめられているのがわかる。三国同盟締結前の海軍と陸軍の意見衝突や、真珠湾攻撃の詳細、ミッドウェー海戦の失敗、ガダルカナル奪還作戦などを経てブーゲンビル島上空で戦死するまでの長いお話だ。

あの戦争に向かった国の指導者の過ちや戦局各地での旧日本軍の欠点などを、ためらうことなく浮き彫りにしている。その自国の汚点に真正面から向き合った姿勢には頭が下がるけど、映画のテンポが間延びしていた。言いたいことはよく理解できるのだ。もう少し短い上映時間にまとめてくれたら、評価が上がった。

この映画がよくないということではなく、各々のエピソードの掘り下げ方は非常によかったと思う。アメリカの国力が日本の10倍あり、日米開戦をなんとしても回避したいという海軍の考え方。真珠湾攻撃での宣戦布告の遅れがないように山本五十六(役所広司)が念を押すが、できなった。米空母を見逃したために再出撃を考えたこともあった。ミッドウェー海戦での軍令部と聨合艦隊司令部の間で、作戦の目的について認識の違いがあった。ガダルカナル作戦での撤退を、日本国内では転進と報じていた。日本軍の無線はほとんどがアメリカに解読されていて、山本五十六の所在はアメリカ側に筒抜けだった。

太平洋戦争開戦から70年、元兵士の方々がだんだんいなくなる現在彼らの証言が報道されるようになった。映画館に出かけることができる日本人は、ほとんどがあの戦争を知らない。そんな我々は、こういう映画を見て国民総動員の時代の中でなんとか戦争を終わらせたいと思っていた方々がいたことを知っておきたい。

真珠湾でアメリカの太平洋艦隊を全滅させることができれば、早期講和ができたのかもしれない。ミッドウェーでアメリカの空母を沈めることができれば、もしかすると戦争が終わっていたかもしれない。でも、実際には数百万人の日本人が亡くなって、日本国土は焦土になった。

山本五十六は最初海軍次官で登場する。海軍大臣米内光政(柄本明)や海軍軍務局長井上成美(柳葉敏郎)らと、日独伊三国同盟締結に反対する。アメリカの国力が日本の10倍あると認識していた山本は、日露戦争から軍隊経験があり駐米武官としてアメリカに住んだ経験もある。さらにハーバードに留学していたという。ある陸軍将校が「米軍など取るに足らない」と言ったら、「その根拠はあるのか」と反論している。

また、新聞記者の宗像景清(香川照之)たちは戦争前から戦争中は国民を戦争へと導き、時代がかわって占領軍が来ると民主主義の記事を書くことになる。誰の責任かと追求するのが目的ではなく、真相を描きたかったのだろう。不謹慎な表現だが、この映画で死んでいく兵士たちは死に方が綺麗すぎると思った。本当の戦争はもっとひどいのではないか。クリント・イーストウッドの「硫黄島からの手紙」と比べると、次の展開が予想できてしまう。

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