決算!忠臣蔵

とらちゃん

2019年11月29日 21:13

山本博文の『「忠臣蔵」の決算書』を原作に、お金がどのくらい掛かったかという観点から描いた物語だ。普通の忠臣蔵ではどのように討ち入りに至るのかを描くのだけど、これは藩取り潰しからの費用をどのようにまかなったかを問題にしている。武芸中心の武家社会は戦国時代で終わっており、その後は経済政策や農村振興などが政治の問題になっていく。幕府としては諸藩の力をどのように抑えて、平穏な世の中にするかが思案している。

政治がどんなに汚れても、藩主は領民の生活を一番考えないといけない。でも、藩主はお家の継続などを優先する。ところが、赤穂藩の浅野内匠頭(阿部サダヲ)は火消しが戦だと考えて、部下の士気を保つ。まあ、無骨で不器用で正義感の塊みたいだ。その性格が仇になって、吉良上野介に斬りかかる事件を起こして切腹になる。

赤穂藩は取り潰しになり、城の明け渡しの期日が迫る。籠城するなんて提案も出るが、おとなしく明渡す。ここで目立つのが勘定方の矢頭長助(岡村隆史)だ。家老の大石内蔵助(堤真一)の幼馴染だけど、石高は天と地の差がある。城明け渡しに当たり、退職金を払ったり処分できるものをお金にしたりと残務整理が大変だ。

一方、江戸詰めの連中は藩主の仇討ちしたいと息巻く。かと言って、江戸に住むのも簡単ではない。大石は京都に居を構えるけど、大阪にいるものもいるし江戸にいるものもいる。大石は最初お家再興を目指していた。それにもお金がかかる。
どんどんお金は減っていくわけで、その苦労する様子がとても現実的で悲喜こもごもなのだ。大石が妾を4人も持っていて、妻のりく(竹内結子)が手切れ金を出すところが面白い。江戸と京都を往復するのもお金がかかる。上野介が隠居して、江戸の外れに住まいを移す。そして、江戸から離れるかもしれないとなって、いよいよ討ち入りに向かっていく。

でも、討ち入りをするのもお金が必要で大人数では行けない。ということで、リストラをすることになる。この様子も面白おかしく描かれている。実際のところはどうだったかわからないけど、愉快だ。そして、討ち入りの準備をするのもお金がかかる。映画に討ち入りのシーンはない。ただし、志士たちの子供(男子)が遠島になるが3年で戻るとか、浅草浅草寺に墓があるとかで終わる。極めて現代的な時代劇だった。星4個。

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