フューリー
ブラッド・ピット製作総指揮・主演、デヴィッド・エアー監督・脚本で作られた第二次大戦末期のヨーロッパ戦線の戦車部隊の攻防を描いた作品だ。ノルマンジー上陸作戦からフランスを奪還した連合国ではあるが、その後のドイツ軍の抵抗は尋常ではなかった。もうじきヒトラーが自殺して無条件降伏する直前に、300人のナチスに5名の兵士がたった一台の戦車で立ち向かう。戦争の裏も表も描き出したすごい内容の物語になっている。
1945年4月ナチス・ドイツが徹底抗戦のため、少年兵まで駆り出して連合国を食い止めようとした。アフリカ戦線から転戦してきたウォーダディー:ドン・コリアー(ブラッド・ピット)率いるシャーマン戦車「フューリー号」が、その連合国軍の中にいた。シャーマン戦車は鋼板の厚さが64mmで主砲が76mm、重量33.6tで機動力があるけど、防御が弱い。一方、ドイツのティガーⅠは前方鋼板の厚さが100mmで主砲が88mm、重量57tという巨大なもので主砲の射程は1400mだ。ティガー戦車と戦うシャーマン戦車は、1台に対して複数台で対抗する戦略を取る。この映画では戦争博物館に保存されている本物の戦車を使って撮影された。
ドンのフューリー号の副操縦士が戦死したので、かわりにやってきたのは戦闘経験ゼロでタイピストだったノーマン(ローガン・ラーマン)だった。人を殺したことがない新兵のノーマンがたたき込まれたのは、子供も鉄砲を持って立ち向かってくる戦場なのだ。最初に遭遇したのは藪に潜んでいたヒトラー青少年団だった。子供だからとノーマンが躊躇したために、味方に犠牲が出てしまう。次には市街戦が待っている。建物の中に隠れているナチスが射撃してくるのをなんとか撃退する。
その街の建物の中に隠れていた女性とノーマンは結ばれるが、その直後にドイツ軍の砲撃で建物ごと吹き飛ばされてしまう。ノーマンは泣き叫ぶけど、戦争は続くのだ。次にシャーマン戦車4台とティーガー戦車1台による対戦が始まる。ティーガーの主砲の迫力ある砲撃が光で強調されているので、スピード感と恐怖がすごい。味方の戦車が次々と破壊されていくのに、フューリー号は接近戦に持ち込んで勝利する。ここまで来ると、新兵だったノーマンも一人前になっている。
最後に戦略上の重要拠点十字路を守る戦いが始まる。なんとかその場所に辿り着いたのはフューリー号だけだった。地雷を踏んでキャタピラが外れたので走行できない戦車に、300人の武装SS大隊が進軍してくる。ドイツ兵の死体を乗せて燃やし、敵をできるだけ引きつけて砲撃する作戦を実行する。もはや死を覚悟した全員の覚悟がひしひしと伝わってくる。
ドイツ兵の中にも家族の写真を見せて命乞いするものもいるが、ドンはノーマンに殺せと命令する。戦争に加わりたくないドイツ市民は道端の電柱に吊られている。理想は平和だが、現実は地獄そのものだった。戦争映画の歴史に残る作品だ。
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