海月姫
東村アキコの同名少女コミックを、川村泰祐監督が映画化した作品だ。能年玲奈主演でオタク女子が地上げトラブルに巻き込まれて、痛快な物語で解決してしまうエンターテイメントになっていた。クラゲマニア、鉄道オタク、三国志オタク、和物オタク、枯れ専の女子に加えて、女装男子が登場してそれぞれがしっかりとキャラとして立っている。人物描写がしっかりとしているので全く退屈することがないし、ファッションショーのシーンが華やかで見応え充分だった。マニアなら保存版にできるクオリティーの高さだった。
一昔前なら男性のオタクが気持ち悪いというのが普通だったけど、いまやオタク文化が女性にも普及して市民権を得ている。オタクで社交性があれば問題なく生活が送れるけど、引きこもってニートとなるとマイナーな存在だ。オタクを極めようとすると、どうしても閉じこもりがちになるのを正反対の挑戦をさせる。脚本の作戦勝ちだと思う。女性のオタクに関係する男性には、女装男子という特殊な趣味の持ち主だ。
クラゲオタクの倉下月海(能年玲奈)はイメージ通りの役柄だったけど、鉄道オタクのばんばさん(池脇千鶴)、三国志オタクのまやや(太田莉菜)、和物オタクの千絵子(馬場園梓)、枯れ専のジジ様(篠原ともえ)の4名はとても普段の印象から程遠いものだった。誰が演じているのかわからないほどである。女装男子の蔵之介(菅田将暉)は、女装がよく似合い男性には見えないくらいだった。またいい味を出していたのは、運転手の速水もこみちと地上げ屋の片瀬那奈だろう。
オタク女子だけが住んでいるアパート「天水館」で、5名は暮らしている。「男を必要としない人生」をモットーにしているので、男子禁制だ。熱帯魚屋でのトラブルで助けてもらった月海は、女性だと思った蔵之介を自分の部屋に泊めてしまう。翌朝に男性であることに気がつくけど、居心地の良さに蔵之介は出入りをするようになる。そこで突然地上げの話しが持ち上がり、天水館の取り壊しの危機が出現する。なんとかそれを阻止すべく、蔵之介と月海はファッションショーをやろうと計画する。
でも全く専門外のことをやろうとしても無理があるし、モデルが蔵之介一人では難しい。蔵之介の父親は地元出身の政治家で、開発計画に協力しようとする。お決まりの展開ではあるけど、オタクたちのキャラクターが面白くて飽きないのがすばらしい。さらに、ファッションショーの演出が本格的で楽しめる。SEKAI NO OWARIの「マーメイフォラプソディー」という主題歌もぴったりとあっているので、余計に楽しいのだ。ゲラゲラ笑って幸せな気分になれる映画だった。
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