ワールド・オブ・ライズ

とらちゃん

2008年12月10日 15:09

昨日試写会で見た。なかなか当たらないのだが、今回はラッキーだった。リドリー・スコット監督のリアリティーを追及した中東のCIAの活動を描いたスパイアクション映画だ。主演は、レオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウだ。現地の工作員に扮したディカプリオの熱演が光っている。

イラクから撤退できない泥沼にはまっているアメリカ軍の窮状を、CIA工作員の立場で描いている。なんとかテロ活動をしている親玉を捕まえようとするが、そんなことが簡単にできるわけがない。たとえ一つのグループをつぶしても、他のやつらが立ち上がる。そんなもぐらたたきのような不毛な戦いを、正義の戦いとか世界を救うと言っているアメリカの政治家の欺瞞に満ちたことか。

わてがおもしろいと思ったのは、彼らが乗っている車がグループごとに違うことだ。CIAはもちろんアメ車のSUV、現地の協力者はBMWとかベンツのボロボロの中古車、ヨルダンとかの情報部員はベンツ、イスラム原理主義のテロリストはなんとトヨタのプラダだった。これが実にそれぞれの立場を物語っていて、面白い。

フェリス(レオナルド・ディカプリオ)はアラビア語にも堪能な中東地域の腕の立つCIA工作員で、ホフマン(ラッセル・クロウ)は本国バークレーで指揮を取っている。フェリスはイラクやヨルダンのアンマン、アラブ首長国連盟など各地を飛び回り、標的のテロ組織に近づこうとする。でも、ホフマンは早く手柄を得たいので、ことを急ごうとする。
そこで、二人の意見が対立して一度は失敗をする。でも、ヨルダンの情報組織の局長ハニ・サラーム(マーク・ストロング)に情報を共有すると申し出て、新しい展開が見えてくる。そこからは詳しく書けないが、いとも簡単に人が死ぬ。

アメリカの偵察機や偵察衛星のすばらしい高性能ぶりは、まさに驚異的だ。これは、決して誇張ではないだろう。でも、どんなにハイテクな技術を持ってしても、住民全員が反米主義の国で犯人探しをしても無駄だ。今までのアメリカのやり方では、解決できない。ラストシーンは、それを物語っている。ゴロゴロ。
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